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「AI兵器」規制に難題 国連で初公式会合 各国の溝目立つ

AIやロボット開発企業の代表者ら公開書簡を発表したグループが、自律型兵器の例として挙げた英国企業開発の武装無人車両

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     人工知能(AI)を搭載し、機械の判断で敵を殺傷する「自律型致死兵器システム(LAWS)」と呼ばれる兵器の国際規制を議論する国連の政府専門家会合が先月、スイス・ジュネーブで開かれた。初めての公式会合となったが、規制の対象や方法を巡り多くの難題が浮かんだ。

     LAWSは「キラーロボット」とも呼ばれ、AIが自ら標的を識別するなどして攻撃する兵器。人間が途中の判断に全く関与しない完全な自律型の兵器はまだ実戦配備されていないとされるが、米国やロシア、イスラエルなど少なくとも6カ国が開発中とみられる。自国兵が危険な地域や任務を回避でき、被害が減るといった利点が挙げられている。

     これに対し、国際NGOや研究者らは「現在のAI技術は数年内に兵器利用を実現できる水準にある。開発を進めれば世界的な軍拡競争が避けられない」と批判。テロリストや独裁者が入手する恐れもあり、AI兵器は火薬と核兵器に次いで戦争の様相を変える「第3の革命」になるとして規制を求めている。

     国連の会合は、非人道的兵器を規制する特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで、3年前から非公式に専門家が議論してきた。公式会合となった今回は約90カ国が代表団を派遣。NGOや専門家らも参加し、「技術」「軍事的効果」「法・倫理」の3分野で議論が交わされたが、各国の溝も目立った。

     多くの途上国がAI兵器の開発段階からの禁止や、人間が確認や決定に関与できる半自律型兵器の懸念も訴えたのに対し、米露などは予防的な規制には否定的な立場を表明した。日本は「民生用AIの健全な発展を阻害しないよう冷静で現実的な議論が必要だ」などと主張した。

     フランスとドイツがAI兵器の開発や使用に関する基準や透明性を高める仕組み作りを提案したが、法的拘束力のある規制を目指すかや、開発や輸出入といったどの段階で規制するかは今後の課題だ。日本から専門家として唯一招かれた佐藤丙午(へいご)・拓殖大教授(安全保障論)は「規制対象を広げると会合が決裂しかねず、狭めると抜け道ができて規制にならない。難題だが、重要なのは国際的な議論を続けることだ」と語る。

     会合では、米国の著名なAI研究者が顔認証機能付きの小型無人機(ドローン)による攻撃の危険性を訴える場面もあったが、これに近い民生用ドローンは市販されている。AIは産業や医療など幅広い分野で発展が期待され、研究開発で軍民の線引きは容易ではないが、今年は日本のAI研究者たちが米軍から研究資金を受けている実態も判明した。学術界もどう向き合うかが問われる。

     AIなどの開発に関わる世界の企業経営者らが、AI兵器の禁止を求める書簡(8月公開)をまとめる際、日本から署名したロボット企業「ハイボット」社長の広瀬茂男・東京工業大名誉教授は「衝突回避など自動車の先進安全技術にもAIが使われるが、逆に使えば自律走行で人を狙うテロや犯罪もできるということ。研究者も対策の議論を深める必要がある」と訴える。【千葉紀和】

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