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社説

羽生・井山氏に国民栄誉賞 伝統文化の新時代開いた

 将棋の羽生善治氏(47)と、囲碁の井山裕太氏(28)に、国民栄誉賞が同時に授与される見通しになった。

     羽生氏は今月、7タイトル戦すべてで永世資格を持つ永世7冠を達成したことが、井山氏は今年10月に、2度目の全7大タイトルを同時制覇したことが評価された。

     国民栄誉賞を棋士が受賞するのは初めてとなる。ともに史上初の偉業を成し遂げた2人をたたえたい。

     2人の活躍は将棋、囲碁界を超えて社会に明るい希望と勇気を与え、人々に感動を与えるものである。

     羽生氏の永世7冠は、頂点に長く立ち続けなければ到達できない記録だ。永世資格は棋戦ごとに条件が異なるが、例えば名人戦は通算5期、王将戦は通算10期が必要となる。

     勝負に徹するだけでなく、羽生氏の魅力は、あくなき探究心にある。永世7冠になってからも「将棋の根本的なところは分かっていない面がある」と語る姿は印象的だ。

     井山氏は昨年4月に7冠に輝き、その後失冠しながら、約1年ぶりに7冠に復帰を果たした。7冠復帰は囲碁、将棋界で初の快挙である。井山氏の強さは、劣勢になっても追いつき、流れを呼び込む粘りにある。

     「タイトルの価値を上げるためにも、世界でいい戦いができるよう努力したい」と、国際棋戦に意欲をみせ、さらなる高みを目指している。

     近年の将棋と囲碁界は、コンピューターソフトに揺さぶられてきた。進化するAI(人工知能)は人間をはるかにしのぐ強さを見せている。

     江戸幕府の保護を受け、発展してきた将棋と囲碁の世界は、AI時代にどう伝統を守るのか。人間にしか指せない将棋、囲碁とは何か。

     この難問にも、羽生氏は「コンピューターの発想を吸収したい」と述べ、井山氏は「碁の真理を追究するプラスになる」と前向きに語る。

     人間の新たな可能性に挑む2人の姿勢は、将棋、囲碁界を活性化するだけでなく、AIと共存する現代人も励ますのではないだろうか。

     国民栄誉賞についても2人は「名誉なこと」「信じられない気持ち」と謙虚に語っている。

     「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与える」文化の担い手はほかにもいるだろう。政府は対象を広げることも考えてもらいたい。

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