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社説

新幹線で重大インシデント 危機感があまりに乏しい

 新幹線の安全性に対する国民の信頼を大きく損なった。

     11日、博多発東京行きの「のぞみ号」の車両の台車に亀裂や油漏れが見つかり、名古屋駅で運転を取りやめた。国の運輸安全委員会は、深刻な事故につながりかねない重大インシデントと認定した。認定は新幹線では初めてのことである。

     疑問なのは、異常が見つかってから列車を止めるまでに約3時間もかかったことだ。

     博多駅出発の約20分後に、乗務員が焦げたにおいに気づいている。岡山駅手前では乗客が「もやがかかっている」と乗務員に告げた。岡山駅で保守担当者が乗り込み、うなるような異常音を確認したが、走行に支障はないと判断した。その後京都駅付近でも異臭がしたにもかかわらず、名古屋駅まで運行を続けた。

     専門家は、台車が破断していれば脱線していた可能性があったと指摘する。一歩間違えれば人命に直結する事故につながったかもしれない。

     高速で多数の乗客を運ぶ鉄道事業者としては、まず列車を止めることが最優先のはずだ。ダイヤを守る営業優先の意識が強過ぎて、安全確保が後回しになってはいないか。

     JR西日本の姿勢そのものが問われている。社員らへの教育や研修を通し、改めて安全運行への意識を高める必要がある。

     鋼鉄製の台車になぜ亀裂が入ったのか。材質の問題なのか、設計など構造上の欠陥が原因なのか。モノ作り企業の不正が相次ぐ中、徹底的な原因の解明も必要だ。

     整備や点検に落ち度がなかったのかも検証しなければならない。車両は2007年に製造された。今年2月に車両を解体しての全般検査を受け、当日の未明に目視点検も実施されたが異常はなかった。

     たとえ優れた機械やシステムでも、万全はあり得ない。安全性向上のためには、人の目による二重三重のチェックが必要だ。点検の仕組みに不備があれば見直すべきだ。

     新幹線の運行は地域によりJR各社に分かれる。東海道・山陽新幹線は、JR西日本と東海が乗り入れる路線だ。車体の異常や故障など、必要な情報が密にやりとりできる態勢は確立しているのか。JR全体で危機感を共有しなければならない。

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