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社説

トランプ政権の安保戦略 平和は力だけで築けない

 米トランプ政権が公表した「国家安全保障戦略」は、北朝鮮とイランを「ならず者国家」と厳しく指弾し、中国とロシアは米国主導の秩序に挑戦する「修正主義勢力」だと位置づけて対抗意識をむき出しにした。

     同戦略の公表はオバマ前政権の2015年以来で、トランプ政権下では初めてだ。特徴的なのは、ロシアのクリミア併合宣言や、南シナ海における中国の軍事拠点化の動きなどを踏まえ、冷戦期の米ソ対立にも似た「大国の競争」の時代が戻ってきたとする認識だろう。

     確かにオバマ政権下では米国の影響力の衰えが指摘され、その分、中露の台頭が目立った。「米国を再び偉大に」をスローガンに掲げて当選したトランプ大統領が、「力による平和」を安全保障の基本とする事情は分からないではない。

     「米国は途方もなく危険な世界と向き合っている」と言うのも誤りではなかろう。だが、北朝鮮の核開発や過激派組織「イスラム国」(IS)などの脅威を列挙するのはいいとして、対決や競争の姿勢を強調するだけでは問題を解決できまい。

     欠けているのは国際社会と協調する姿勢である。同じ共和党のブッシュ(子)政権が単独行動主義と呼ばれたように「米国第一」のトランプ政権も他国の意見に耳を貸さずに突き進む、危うい傾向がある。

     そのブッシュ政権は02年に公表した国家安保戦略などを通じて「先制攻撃論」を打ち出し、翌03年のイラク戦争への地ならしをした。

     このため、今回の「戦略」も北朝鮮攻撃との関係で注目されたが、朝鮮半島の非核化のために全力を挙げ、日韓とミサイル防衛(MD)の構築に協力するといった型通りの記述にとどまり、「戦争前夜」の緊迫感は感じられない。

     だが、北朝鮮問題で国際社会の結束を訴えながら、他方ではエルサレムをイスラエルの首都と宣言して過去の安保理決議に背を向け、これを無効とする安保理決議案には拒否権を行使した。そんなトランプ政権が北朝鮮問題などの解決に国際的な支援が得られるか不安である。

     無謀なイラク戦争によって米国が国際信用を失い、財政難に陥ったことを思い出したい。最強の国・米国に欠かせないのは謙虚さである。

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