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社説

米兵器の直接取引が急増 「言い値」で購入は疑問だ

 巨額の防衛装備の導入には国民の理解が欠かせない。政府はそれだけの努力をしているだろうか。

     政府が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を導入することを決めた。北朝鮮の弾道ミサイルへの対応が目的だ。秋田市と山口県萩市の陸上自衛隊演習場に1基ずつ配備し、2023年度の運用開始を見込んでいる。

     地元には「攻撃対象になるのでは」といった不安の声も広がる。政府は十分な説明をすべきだろう。

     政府が国民の安全を守るために必要な防衛装備を整えるのは当然だ。

     しかし、最先端の防衛装備は巨額の費用が必要になる。今回のシステム導入費用は2基で計2000億円以上になる見通しだという。

     新たなシステムは日米両政府が直接取引する対外有償軍事援助(FMS)で導入する予定だ。

     FMSは、米国が武器輸出管理法に基づき、同盟国や友好国に最新鋭の兵器や武器、装備品を有償で提供する契約のことだ。

     購入国は価格見積もりや代金の原則前払い、予定納期など米国が示す条件を受け入れなければならない。

     日本にとっては最新装備を取得できるが、問題は商社が介在せず競争原理が働かないため、米政府の「言い値」での取引になるという点だ。

     第2次安倍政権発足後の5年間、防衛費は上昇し続けている。とくにFMSによる購入総額は政権発足前5年間の総額の約4・5倍になる。

     米政府は、相手国での生産が可能になるライセンス契約よりもFMS契約を優先する傾向にあるという。

     安倍政権には、高額であっても中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発に対抗するため最新装備の導入を急いでいる事情もあるようだ。

     トランプ米大統領は同盟国への兵器売り込みに熱心だ。FMSが増え続けるおそれも否定できない。

     安倍晋三首相は防衛力強化を訴えているが、FMSによる購入が増えれば防衛費は膨れ上がるばかりだ。

     日本の財政状況は厳しく、社会保障費とのバランスを取る必要もある。自衛隊内での人件費や装備品へのしわ寄せも懸念されよう。

     FMSの場合、十分な情報開示と透明性のある価格交渉がなければ、国民の理解も得られまい。

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