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社説

金井飛行士がISSに到着 有人探査の将来も議論を

 日本人宇宙飛行士の金井宣茂さんが、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。来年6月まで約5カ月半滞在する。

     金井さんは海上自衛隊の医師だった経験を生かし、無重力や放射線が健康に及ぼす影響を探るマウスの飼育実験や飛行士の尿を飲み水に効率よく再生する装置の試験などに取り組む。活躍を期待したい。

     ただ、米露や欧州など15カ国が参加するISSは2024年までの運用しか決まっておらず、日本の有人宇宙開発は岐路に立つ。

     そうした中、政府は今月、米国が主導する月の有人探査計画に参加する方針を打ち出した。

     トランプ米大統領は、米国の宇宙飛行士を再び月に送り、その後は有人火星探査を目指す計画を進めている。月を周回する軌道に宇宙ステーションを建設し、将来の宇宙探査の拠点とする構想もある。

     米露2カ国は月探査で協力することで9月に合意した。中国も独自の月探査計画を持つ。

     ISSへ物資を運ぶ補給機「こうのとり」や実験棟「きぼう」の運用など、日本がISSへの参加で培った技術力は世界的に高い評価を受けている。こうした技術の継承、発展を図るのなら、国際協調で月探査を目指すのは自然な流れだ。月は資源探査の舞台として注目を集めており、多国間の連携は安全保障の観点からも有益だ。

     課題はやはりコストだ。

     日本のISS関連予算は年間約400億円。累計では約1兆円に上るものの、産業応用面で大きな成果が上がったとは言い難い。

     有人宇宙船の開発などは米国に頼る一方、宇宙拠点の水・空気の再生や物資輸送技術などで貢献し、計画に欠かせない存在となることを政府は狙う。だが、日本人を月に送るとなると、現行のISS関連予算の枠を超える大幅な負担増が求められるのは確実だ。

     政府が月探査計画を具体化する際には、コストや技術的な見通しなどの議論を広く国民に公開し、理解を得ていく必要がある。

     日本でも月の無人探査を目指すベンチャー企業が登場している。民間の力を効果的に活用する方策も今後の検討課題となろう。

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