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社説

自民が改憲案の論点整理 重層的な掘り下げが必要

 自民党が10月の衆院選公約に盛り込んだ憲法改正の4項目について論点整理を発表した。

     安倍晋三首相が5月に提起した「自衛隊の明記」に関しては、憲法9条1、2項を維持したうえで自衛隊の規定を加える首相案と、第2項を削除して自衛隊の目的・性格を明確化する案の両論併記となった。

     9条2項は「陸海空軍その他の戦力」を保持しないと定めた条文だ。それを削除して自衛隊を明記すれば事実上、軍隊の位置づけとなる。

     自民党が2012年にまとめた改憲草案も第2項を削除して「国防軍」を保持する内容だ。自民本来の主張と言えるが、公明党や野党の同調は見込めず、国民投票にかける前の国会発議すら難しいといえる。それを承知で両論併記としたのは、党内の「ガス抜き」なのだろう。

     自民党憲法改正推進本部は首相案で意見集約を図る構えだ。ただし、自衛隊を明記すれば済むというような単純な話ではない。

     実力組織を憲法に書き込む場合にはシビリアンコントロール(文民統制)の原則を確認する規定も併せて検討する必要がある。憲法規定の影響を直接受ける自衛隊法などの法体系全体について、重層的に掘り下げた議論が求められる。

     大規模災害などの「緊急事態対応」については、国会議員の任期延長を可能とする案のみならず、「政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項」案も併記された。

     非常時に衆院解散などで国会が機能しない状況を避けるための議論から、国家権力を強化する方向へ対象を広げる意図が感じられる。

     残る「参院の合区解消」「教育の充実」の2項目も議論は生煮えだ。参院議員の改選時に都道府県から1人以上を選出する規定を設けるというが、参院のあり方など統治機構を見直す議論が欠けている。

     自民党は各党に具体的な提案を呼びかけているが、自民の論点整理は提案できるレベルにはほど遠い。

     自民党内からは、来年の通常国会に改憲原案を提出し、秋の臨時国会で発議を目指すという声も聞こえてくる。東京五輪の開かれる20年を改憲目標とする首相のスケジュールにひきずられ、拙速に進めるようなことがあってはならない。

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