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社説

国連総会エルサレム決議 米国の非常識が際立った

 驚き、あきれるのを通り越して悲しくなる。米トランプ政権は力と金で世界を従わせようと言うのか。

     「エルサレムはイスラエルの首都」と認めたトランプ大統領に対し、国連総会は認定の撤回を求める決議を圧倒的多数で採択した。

     世界の良識の表れとして歓迎するが、見過ごせないのは米国が決議案賛成国への援助打ち切りをにおわせ、露骨に圧力をかけたことだ。

     「投票結果は覚えておく」とヘイリー米国連大使は捨てゼリフのように言い、米国の国連分担金の多さにも言及した。だが、自らの理不尽な決定を、非常識な措置と論理で押し通そうとした米国の姿を、国際社会の方も忘れることはないだろう。

     決議に拘束力はないが、日本を含む128カ国の賛成に対し、反対は米国とイスラエルなど9カ国に過ぎない。両国の孤立は明白だ。

     米国は思い出すべきである。1991年の湾岸戦争で、クウェートを占領するイラクを破った米国は同年秋、渋るイスラエルを説得して全当事者による中東和平会議を開いた。

     「イラクの占領は戦争で終わらせ、米国の同盟国イスラエルのパレスチナ占領は黙認するのか」。アラブ世界などの批判をブッシュ父政権は無視できなかったのだろう。

     その会議でブッシュ氏は「公正さに基づく和平」を強調し、和平交渉の基礎はイスラエルの占領地撤退を定めた国連安保理決議(242と338)だと言明した。

     これが中東和平の出発点であり、ゴールは聖地エルサレムの帰属の決定だったはずだ。トランプ氏の「首都宣言」に大義はない。同氏は、米国がもはや和平仲介者ではないと暗に宣言したようにも見える。

     そうであれば中東和平をどう進めるかを世界は真剣に考えなければならないが、トランプ氏の方も同じ共和党のブッシュ父大統領が言った「公正さ」をかみ締めるべきだろう。

     イスラエルへの支持は米国の大原則とはいえ、一方では国際的な「公正さ」を意識してバランスを取るところに米国の誠実さが感じられた。

     トランプ政権が「イスラエル偏愛」を押し通すなら米国の誠実さは失われよう。中東和平が進まなければ、イスラエルの恒久的平和も国際社会の安定もありえないのである。

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