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待ち遠しい

/47 作・柴崎友香 題字・画 赤井稚佳

=画・赤井稚佳

前回までのあらすじ

 律子は娘の沙希との子供について拓矢に「父親が必要だ」と懇願するが、拓矢はあいまいな返事を返し、車で寝ると言って出ていく。春子は、落ち着きを取り戻した律子に、沙希から聞いたとして、別れた夫からの送金について尋ねる。

母と母

 話しているうちに、律子の声はだんだんと高ぶっていった。

「金ももらいたくなかった。でも、うちが働いたところで、たいして稼がれへんやないですか。昼間パート行って、夜は店に出て、睡眠時間削ったかてなんぼにもならへん。昼間、沙希の世話はうちのおばあちゃん、母がして助けてくれたけど、でもおばあちゃんの分も、うちは働かなあかん。最初の何年かは一人でがんばったけど、どうしようもなかった。だから、うちはあの人に頭下げたんです。さっさと若い女と再婚して、その人の実家の会社でええように役員かなんかに納まってて、うちらに暴力振るてたことなんかきれいさっぱり忘れた顔して、子供のために恵んでやるみたいな態度取られた。自分は心が広いんや、っていう顔してた。死ぬほど悔しかった」

 律子が湯飲みを持つ手が震えているのに、春子は気づいた。

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