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電通自殺2年

まつりさん母「娘いない2度目のXmas」

手記を公開「悲しみと苦しみは一生消えることは…」

 電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺してから25日で2年となるのに合わせ、母幸美さん(54)が代理人弁護士を通じて手記を公開した。「大切なまつりを失った悲しみと苦しみは一生消えることはありません。普通の生活をして普通に幸せになりたかった」と思いをつづっている。

     手記は「『まつり』がいない、2度目のクリスマスです」という書き出しで始まる。毎朝、目覚める時にまつりさんが生きている世界に戻っているのではないかと、今も淡い期待を抱いているという。

     政府が残業時間の上限を繁忙期には月100時間未満などとする労働基準法改正案をまとめたことにも触れ、「過労死ライン(直前の2~6カ月の残業時間が月平均80時間)を超える長時間労働を認めることになり、大変疑問が残ります」としている。

     その上で「経営者や従業員、全ての人の意識を変えて、日本の社会全体で働く人の命と健康を守ってほしい」と訴えている。【古関俊樹】

    電通の違法残業事件

     2015年12月25日に電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺し、16年9月に労災認定された。同年11月、厚生労働省は電通本社などの家宅捜索に乗り出し、本支社幹部と法人としての同社を労働基準法違反で書類送検。17年10月に同社が罰金50万円の有罪判決を受けた(幹部は起訴猶予)。事件を受けて電通の石井直社長(当時)が引責辞任した他、政府の働き方改革の議論にも大きな影響を与えた。

    高橋まつりさんの母幸美さんの手記全文

     高橋まつりさんの母幸美さんの手記は以下の通り。(原文のまま)

     娘の「まつり」がいない、2度目のクリスマスです。

     毎朝目覚めるときに、まつりが生きている世界に戻っているのではないかと、未(いま)だに淡い期待を抱き続けています。目の前にあるのは元気なまつりの姿ではなく、まつりが眠る赤い箱です。労災認定されてからも辛(つら)く苦しく、まつりを思わないときはひと時もありません。まつりは私の生きる理由であり、まつりを語るとき、その姿はあらゆるところで蘇(よみがえ)り生き続けます。

     ちいさい頃から人生を自分の選択で懸命に生きたまつり。最後も最善の選択をしてくれると信じ切っていました。まつりの尊厳を守れるのは私しかいない。まつりの後を追うことは許されない。必死の2年間でした。

     電通は1991年に社員の大嶋一郎さんが亡くなられた後に、「不幸な出来事が二度と起こらないよう努力します」と誓いました。しかしその後も電通は、改革を行うことなく法律違反やパワハラを続けて、何人もの犠牲者を出しています。そして、まつりも長時間労働とパワハラとセクハラの犠牲となりました。まつりの死によって、不夜城といわれた電通の灯りは22時に消えることになり、会社は「労働環境の改革を2年でやり遂げる」と再び宣言しました。

     立派な改革案が提案されていますが、いまだに電通社員は「自分たちは厳しい上下関係や深夜勤務を乗り越えて成長してきた」という成功体験に囚(とら)われていて、意識改革は遠く難しいと思います。会社も社員も非常識な文化や成功体験を捨て、改革への意識を共有して、本気で実行に向かわなければ、また不幸な出来事を繰り返すことになります。

     今年10月、電通は労働基準法違反により、刑事裁判で罰金50万円の有罪判決を受けました。人のいのちが喪(うしな)われているのに責任があまりにも軽すぎます。判決時に労働基準法違反による過失致死として、罰則を強化して欲しいと訴えました。

     労働基準法違反により過労死を起こした会社名を公表し、罰則を強化するように法律の改定が必要だと思います。会社責任だけでなく、裁量が与えられていない部下を管理する上司の責任も重大です。労働時間の過少申告を指示していたまつりの上司が、刑事責任に関して不起訴処分になったことは大変無念です。パワハラも、人のいのちを奪います。パワハラやセクハラは絶対に許されるべきことではありません。

     安倍総理大臣が働き方改革を必ず成し遂げ、平日の残業の上限規制を1か月100時間未満にすると約束されましたが、過労死ラインを超える長時間労働を認めることになり、たいへん疑問が残ります。ヨーロッパ諸国のように、11時間の勤務間隔を開ける勤務間インターバルの義務付けこそが必要だと思います。労働時間規制の例外の拡大は絶対にあってなりません。眠らないで生きられる人間などこの世にいるはずないからです。

     電通の労働改善も、政府の働き方改革も、どうしてまつりの生きていた時にできなかったのでしょう。もしこれらが実現していたら、まつりは生きて自分の夢に向かって社会に貢献していたでしょう。まつりの苦しみは消えることはなく、どんなことをしてもまつりは生きて戻ってくることはありません。大切なまつりを失った悲しみと苦しみは一生消えることはありません。私たち親子の名前がこんな形で日本に知れ渡ることは私たちの望みではありませんでした。普通の生活をして普通に幸せになりたかったのです。

     私たちのような不幸な親子を増やさないために経営者や従業員、すべての人の意識を変えて、日本の社会全体で働く人の命と健康を守って欲しいと思います。

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