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余録

「元日や今年もあるぞ大晦日」…

 「元日や今年もあるぞ大晦日(おおみそか)」。当たり前の話なのに川柳になるのは江戸の昔は大みそかが借金取りとの攻防の日だったからだ。日用品も掛け売りが普通だったので、大みそかに掛け取りがどっと家に来た▲「大晦日亭主家例の如(ごと)く留守」「掛取りが来ると作兵衛うなり出し」「押入れで息を殺して大晦日」。借金取りから逃れる仮病や居留守は川柳の笑いの定番であった。井原西鶴(いはらさいかく)の「世間胸算用(せけんむねさんよう)」には手の込んだ借金取り撃退法がある▲「亭主の腹わたをくり出しても取る」。留守番を脅しつける男の勢いに、他の借金取りは「ここはだめだ」とあきらめる。だが当の亭主はどなっている男の留守宅で同じことをしていた。借金取り撃退の「大晦日の入れ替わり男」だ▲掛け取りがなくなった今も年末に借金の山を思い出すのは、毎年今ごろに来年度政府予算案が報じられるからである。景気回復による税収増を見込んだ2018年度の一般会計総額は、6年連続で過去最大となる97・7兆円となった▲政府は新たな国債発行は減るという。だが歳入の3分の1が国債でまかなわれるのに変わりなく、国と地方の借金は1100兆円を超す。膨らむ借金をよそに、当面の実入り増の皮算用を頼りに支出を増やすのはまともな算段なのか▲総選挙では消費増税の使途変更で大勝した首相だが、来年は新たな財政健全化目標を示すという。ならば持続可能な社会保障と財政を次世代に渡す歴史的な使命のためにこそ、蓄えた政治力を用いる時だろう。

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