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波のまにまに

人から人へ、古書の奇縁=戸田栄

 思わぬところで、尊敬するK先生に出くわした。先生は、大阪市内の古本屋の書棚の中にいた。生前、何度も話を聞きに行ったが、あの大阪弁のダミ声で「よう来たなあ。こんなとこにおってびっくりしたやろ」とでも言って、大笑いしているかのようだった。

 作り話ではなく、その本のタイトルは「もののけ」。法政大学出版局発行の「ものと人間の文化史シリーズ」の一冊だ。なんの気なしに書棚から手に取って開くと、傍線は引きたくっているし、あちこちに書き込みがある。なんやこれと思ったのだが、傍線部を目で追うとなるほどと思い、「コスモス」「異化作用」など、そこへつなげて考えると面白いアイデアが書いてある。もしやと思った。

 数年前に先生は亡くなり、学恩に報いたいと考えた弟分的な大学教授は、蔵書はまとめて博物館に寄付しよう…

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