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AI進化

患者を“診断” 医師と協働でがん治療 東大医科研導入

宮野悟氏=古屋敷尚子撮影

 東京大医科学研究所は2015年7月、がんの治療に役立てるために米IBMが開発したAI「ワトソン」を導入。今は研究段階だが、付属病院に紹介された患者の病名や治療法を“診断”している。宮野悟・ヒトゲノム解析センター長に展望を聞いた。【聞き手・古屋敷尚子】

 --AIを使う利点は何ですか。

 医療に関する情報は膨大で、生命科学に関する論文を積み重ねると、富士山の高さを超える。一人の医師が読み込むのは不可能だが、ワトソンは世界中から集めた膨大なデータを学習して治療法を導き出すことができ、医療を大きく変える可能性を秘めている。

 --どのように“診断”するのですか。

 患者の遺伝情報を集めて、症状とともにワトソンに解析をさせる。その結果にワトソンが蓄えたがんの専門知識を掛け合わせて、病名や治療法を提案する。16年夏に急性骨髄性白血病と診断されて化学療法を受けていた患者が、思うような治療の成果が出なかったため、2000万件以上の論文を学習したワトソンを利用した。その結果、10分ほどで別の特殊な白血病だと見抜き、抗がん剤の種類を変えるよう提案した。

 --医師は必要なくなるのですか。

 最終的な診断をするのは医師の役割だ。ワトソンが提案した病名が正しいのかどうかを再検討し、合併症の有無や年齢などを考慮してワトソンが示した治療法を採用するかどうかを決める。また、現段階ではワトソンの提案を実際に採用できる件数は限られており、まだまだ学習を続けさせる必要がある。

 --実用化が待たれます。

 アメリカではAIの提案をもとに医師が診断を行う病院がある。日本では、厳しい法規制など乗り越えなければならない壁はあるが、近い将来に実現は可能だと思う。特にがんは知り尽くせない病で、患者個人に合わせてどんな治療を行うかは人知を超えた世界だ。ワトソンは医師が2週間かけて導いた結論を10分で出すことができる。医師とAIが協力することで、がん治療は発展するはずだ。

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