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号外下村脩さん死去 「緑色蛍光たんぱく質」でノーベル化学賞

イベント満載!子供の頃の旧正月の思い出

 あけましておめでとうございます。あなたはどんなお正月を過ごしましたか?今年も私、段文凝はいろいろなことにチャレンジして、いつも応援してくださっているあなたに、たくさんの元気をお届けしたいと思っています!

     突然ですが、あなたにとって“お正月”というと、どんなことを連想しますか?神社の初詣、獅子舞、初日の出、お節料理、お雑煮、おぜんざい…。後半、食べ物のことばかりになったのは、どうぞご容赦ください。この原稿を書いている今、私は食べ物の思い出がたくさん詰まった、中国での“旧正月”のことを思い出しています…。

     日本の友達に“旧正月”のことを話すと、たいてい不思議そうな顔をされてしまいます。旧正月の旧とは、明治時代に日本で新暦、つまり西暦が導入されたことで、それまで使っていた暦が“旧暦”とされたことに由来しています。中国でも今は西暦、中国語では“公历”(ゴンリー/公暦)が使われており、公文書に記載される日付や祝祭日はすべてこの暦が使われています。ただ中国では“旧暦”、中国語では“农历”(ノンリー/農歴)が、今も大事にされています。“旧正月”、中国語では“春节”(チュンジエ/春節)をはじめとするさまざまな行事を知るためです。

     春節は、毎年日にちが変わります。ちなみに、今年、つまり2018年の春節は、西暦の2月16日です。この日がいわゆる“元日”です。冒頭で私が小さい頃の春節の思い出について少し触れたので、ここでちょっと詳しくご紹介します。まず、春節という言葉を聞いてすぐ思い出すのは食べ物のこと。具体的には、水ギョーザや、あんに黒糖を使ったおまんじゅうの“糖三角”(タンサンジャオ)、棗や小豆など縁起のいい赤い食材を使った料理などです。中でも水ギョーザは元日の前の日、つまり大みそかに作り始めます。大みそかは、中国語で“除夕”(チューシー/除夕)といいます。

     私の家では、家族や親戚が集まってギョーザを皮から手作りしていました。小さい頃の私は、普段なかなか会えない従兄や従妹と思い切り遊べることや、大人がおしゃべりをしながら器用にギョーザを包んでいく作業を見られるのが楽しく、春節をとても楽しみにしていました。夜になり、テレビでは夜の8時から“春节联欢晚会”(チュンジエ リィエンホァン ワンホイ/春節聯歓晩会) という番組が始まります。この番組は、日本でいう“紅白歌合戦”のような番組です。有名な歌手が次々と出てきて歌いますが、チーム分けはなく、勝敗も競いません。演目も歌だけでなく、京劇や、マジックショー、お笑い芸人による漫才やコントもあります。そして年越しの瞬間が近づくと、カウントダウンが始まります。年越しの瞬間は、真夜中にもかかわらず、屋外から大音量の爆発音が鳴り響きます。外で待機していた大人たちが、一斉に爆竹に火をつけるからです。この音は本当に大きくて、屋内にいても一瞬テレビの音が聞こえなくなるほどでした。

     このように春節は私にとって、にぎやかで、おいしい食べ物をおなかいっぱい食べられて、新しい服や、お年玉、中国語では“压岁钱”(ヤースイチェン/圧歳銭)をもらえる、1年に1度の大イベントでした。

    私が見た日本のお正月とその楽しみ方

     そんな中国の派手でにぎやかな春節に慣れた私が、初めて体験した日本のお正月は、とても静かに感じました。大みそか、年越しを控えたお寺の境内では除夜の鐘が低く鳴り響きます。年越しの瞬間には、神社の境内でお神楽が上品に舞われます。正直、最初は中国の年越しの雰囲気とのギャップの大きさに少々戸惑ってしまったのですが、1年、また1年とお正月を体験していくにつれて、私なりの楽しみを見つけることができました。

     たとえば“お節料理”。先ほどご紹介したとおり、中国のお正月では水ギョーザや甘いあんのおまんじゅうを食べたりするのですが、それらは見た目が特別なものではありません。一方、日本のおせち料理は、初めて見たとき、工芸品のように繊細で豪華!と目を奪われました。エビの赤や数の子の黄色、レンコンの白など、色も鮮やかで食べるのがもったいないくらいでした。毎年デパートなどで年末になるとお節料理の予約が始まりますが、その時写真も店頭に張り出されます。今年はどんな趣向のお節料理があるのかなあと、写真を見比べるのが私のひそかな楽しみなのです。

     お節料理以上に楽しみにしていることもあります。それは“福袋”です。中身が見えず、どんなものが入っているのか分からないワクワク感が、とても好きです。こんなことを言うと「段さんは単純だなあ」と笑われてしまうでしょうか。でも、好きな理由はそれだけではありません。元日からだいたい1週間くらいの初売りの期間中は、お店に人がたくさんいて、とてもにぎやかです。私にとって、その雰囲気はどことなく昔の“春節”をほうふつとさせるのです。

    今年の私自身の春節は?

     日本に来て9年目となり、すっかり日本のお正月にもなじんだ私ですが、たまにふと、子供の頃のにぎやかな春節が懐かしくなることがあります。最近は中国でもかつてのようなにぎやかな雰囲気は、無くなってきています。大量の爆竹によって大気中のPM2.5が増えてしまうため、北京や上海などの都市部ではエリアや時間帯によって爆竹の使用が一部制限、もしくは禁止されています。家族が集まってギョーザを手作りする家も減ってきており、私の実家でも、もうしていません。その代わり、大みそかにレストランを予約して年越しをしています。一般的にも、今はそんなやり方が主流になってきているそうです。

     中国人にとって、春節は年に一度家族が顔を合わせる大切な期間です。中国に限らずヨーロッパやアメリカに住む華僑の人々も一斉に移動を始めます。一方で、住んでいる場所から離れず、ふるさとに帰らない人たちもいます。「実家に帰ったら親戚がいっぱいいて、結婚しろと言われるに決まっているので、帰りたくない」とこぼす女性の友人もいます。これなどは、今の若い人ならではの感覚かもしれません。

     さて、ここまでどこか人ごとのように春節をご紹介してしまった私ですが……今年の春節に私自身、どうするかまだ決めていません。日本では春節期間中はお休みでないだけでなく、お正月が明けてお仕事が忙しくなる時期でもあるからです。日本でまだまだたくさんやりたいことや、チャレンジしたいことがある私は、もう少しだけ、いろんな気持ちを胸の中にしまっておきます。その前に、今年最初のお楽しみを一つ。そう。先日、デパートの初売りで買った“福袋”をまだ開けていないんです。今年はどんなものが入っているのかな…? とってもワクワクします!

    今年があなたにとっても、私にとっても、うれしい事や楽しいことがたくさんある、素晴らしい年でありますように!

    段文凝

    (だん・ぶんぎょう)中国・天津市出身。2009年5月来日。同年まで天津テレビ局に所属。2011年4月より、NHK教育テレビ『テレビで中国語』にレギュラー出演。(2017年3月卒業)2014年早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。日中間を行き来し講演活動を行い、「かわいすぎる中国語講師」として幅広い層に人気を得ている。2015年、2016年に毎日新聞夕刊「ひ・と・も・よ・う」で取り上げられた。2017年現在、NHKWORLDのラジオにレギュラー出演。舞台や映画などを中心に女優としても活躍している。

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