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社説

貴乃花親方処分めぐる議論 排外的な風潮が気になる

 大相撲の元横綱・日馬富士による傷害事件で、日本相撲協会は貴乃花親方の理事解任を評議員会に提案することを決めた。

     理事が解任された例はなく、被害者側の処分としては重い。だが、貴乃花親方は巡業部長でありながら協会への報告義務を怠ったうえ、協会に協力せず調査を長引かせた。処分はやむを得まい。

     気になるのは、この問題をめぐり、元横綱の暴力や貴乃花親方の態度とは無関係な排外的な議論が目に付くようになったことだ。

     九州場所千秋楽で、優勝した横綱・白鵬関が「うみを出し切る」と話し、観客に万歳三唱を促した頃から、こうした傾向が出始めた。

     貴乃花親方を擁護する意見とともに、ナショナリズムをあおるような声がインターネットを中心に広がっている。「相撲は日本の国技で、外国人は国技、神事が何たるかを理解していない」といったものだ。

     また、白鵬関に限らず、モンゴル人力士全体を否定する意見も見受けられるようになった。

     貴乃花親方の沈黙がさまざまな臆測を呼び、モンゴル人力士との対立の構図を際立たせてしまった面は否めない。白鵬関の行動に問題があったのも事実だ。

     だが、日本の伝統文化である大相撲の発展に外国人力士の尽力があったことは明白である。

     外国人受け入れに消極的だった時代に入門したハワイ出身の高見山は、外国人初の関取となり、大相撲の国際化に貢献した。

     近年でも、野球賭博や八百長問題で人気が低迷する中、大相撲を支えてきたのは朝青龍や白鵬関らモンゴル勢だ。

     スポーツにおいてナショナリズムがファンを高揚させる一面を持つことは否定しないが、今の風潮には危うさを感じざるを得ない。

     問題の根幹は暴力問題である。

     2007年の序ノ口力士暴行死事件を機に、協会は再発防止に取り組んできた。しかし、暴力は許されないという当たり前のことが浸透していなかった。殴ることが指導だという考えが生きていた。

     協会も貴乃花親方も事態を早期に収拾させ、一体となって暴力根絶に当たるべきだ。

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