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社説

日本の中東和平政策 「中庸の理念」貫いてこそ

 河野太郎外相が中東のイスラエルとパレスチナ自治区を訪れ、ネタニヤフ首相、アッバス議長に中東和平に向けた対話を呼びかけた。

     河野氏は双方が共存する「2国家解決」を支持し、「エルサレムの最終的地位は当事者間の交渉により解決されるべきだ」と訴えた。両首脳も対話の重要性を確認したという。

     トランプ米大統領によるエルサレムの「イスラエル首都認定」を巡り対立の先鋭化が懸念されていた。

     双方に交渉を促し、中東和平の実現に向けて役割を担おうとした河野氏の姿勢は評価されよう。

     ただし、トランプ氏の「首都認定」後の日本政府の対応は、必ずしも明快ではなかった。

     トランプ氏の決定には英仏独など欧州諸国や中東諸国から不支持表明が相次いだ。だが、日本政府は懸念を示すにとどまった。

     決定撤回を求める国連総会決議案の採択では賛成したが、棄権を含めて対応を協議したという。背景には米国への配慮があった。

     北朝鮮の核・ミサイル問題で日米連携への影響を心配したようだ。しかし、中東和平とはまったく別の政策で従属関係にあるわけではない。

     安倍晋三首相は2015年の中東訪問時の中東政策スピーチで「中庸」の重要性を説いた。中庸とは、特定の考えや立場に偏らず、極論を排し調和の取れたことを言う。

     首都認定は、米国が和平仲介者の役割を放棄し、中東和平を一段と遠ざける一方的な決定だった。

     日本のパレスチナ支援はオスロ合意の1993年以降で約2000億円に達する。約10年前から始めたパレスチナ支援構想「平和と繁栄の回廊」を中東諸国は評価している。

     こうした日本の和平戦略と首都認定は相いれないものだ。日本は毅然(きぜん)とした態度を示し、米国に建設的な役割を果たすよう促すべきだ。

     中東和平はイスラエルとパレスチナだけでなく、アラブ諸国やイランにも波及する広範な問題だ。

     石油の約9割を中東に依存する日本にとって地域の安定は死活的な重みを持つ。だからこそ米国とは違う独自の中東外交を展開してきた。

     「中庸の理念」を貫き、米国に直言してこそ、中東での日本への信頼が高まるはずだ。

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