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自民党

「実力組織」9条明記検討 自衛隊を戦力と区別

自民党本部で開かれた憲法改正推進本部の会合=2017年12月20日、川田雅浩撮影

 自民党憲法改正推進本部は、憲法を改正して自衛隊の存在を明記する際、「必要最小限度の実力組織」と条文で定義する検討に入った。安倍晋三首相の意向を踏まえて9条第2項(戦力不保持)を維持するには、「戦力」との線引きが必要になるためだ。党内に根強い「2項削除」論を抑える狙いもある。しかし、自衛隊の目的をどう書くかというもう一つの重要な論点が残っており、推進本部は条文案をまとめるには至っていない。年明けから議論を再開する。【小田中大】

 首相は5月3日の憲法記念日に、9条第1項(戦争放棄)と第2項を変えずに自衛隊を明記する改憲を提起した。10月8日のNHK番組では「2項の制限はかける。必要最小限度という制限はかかっていく」と説明。首相や自民党幹部は自衛隊の合憲性をより明確にするための改正だと強調し、世論の理解を得ようとしている。

 これに対し、2012年の党憲法改正草案作りを主導した石破茂元幹事長らは、第2項を削除して自衛隊(国防軍)の性格と目的を明確にすべきだと主張。推進本部は年内に意見集約できず、20日に両案を併記した論点整理を発表するにとどめた。

 政府は自衛隊を「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織」と位置付けて「戦力」と区別し、憲法違反ではないという立場をとっている。推進本部の細田博之本部長や特別顧問の高村正彦副総裁らは首相の考えに沿って党内をまとめるため、新たな条文を追加して「必要最小限度の実力組織」と明示すべきだとの判断に傾いた。

 ただ、改憲案では自衛隊の目的や任務をあわせて明確にする必要がある。この点に関して推進本部の幹部の間では、「わが国を防衛するため」と政府見解を援用するか、「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするため」などとより幅を持たせるかを巡って議論が続いている。

 改憲案で「自衛隊」の名称をそのまま使うかどうかも結論が出ていない。20日の推進本部全体会合では、自衛権を明記すべきだという意見が出たが、集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法制定時のように国論を二分しかねないため、慎重に検討する。

「最小限度」拡大の恐れ

 安倍晋三首相は2020年の改正憲法施行を目指している。自衛隊の存在明記はその主要テーマだが、国会が改憲案を発議しても、国民投票で過半数の賛成を得られる見通しは現時点で立っていない。自民党が「必要最小限度の実力組織」の明文化を検討するのは、世論の抵抗感を和らげる必要があるからだ。

 9条第2項(戦力不保持)を維持したまま自衛隊を憲法で位置付けるには、「戦力」と自衛隊の違いを厳密に整理しなければならない。政府関係者が「何のための必要最小限度なのかを書くのが一番難しい」と指摘する通り、自衛隊の目的や任務の定義次第で「必要最小限度」の意味も変わる。立憲民主党や共産党は自衛隊の明記によって第2項は死文化すると反発している。

 安倍政権は安全保障関連法による集団的自衛権の行使について、日本の存立危機事態での限定容認だと説明したが、制定過程で世論の賛否は割れた。自民党が安保関連法に準じた条文案を作った場合、国会の憲法審査会は紛糾が必至だ。

 北朝鮮情勢が緊迫する中、政府は敵基地攻撃に転用可能な長射程巡航ミサイルを導入する方針だ。18年度予算案の防衛関係費は4年連続で過去最大を更新した。自衛隊の現状がそもそも「必要最小限度」なのかを野党は追及するだろう。しかも改憲が実現した後は、自衛隊の防衛装備は絶えず憲法判断の対象になり得る。

 自民党憲法改正推進本部の幹部は、第2項の削除に踏み込めば公明党の協力が見込めず、改憲はさらに難しくなると考えている。しかし、自衛隊を「必要最小限度の実力組織」と規定すれば問題がすべて解決するわけではない。自民党が「近道」を選ぼうとしても、ハードルは少なくない。【小田中大】

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