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抗がん剤

廃棄738億円 年間推計、残薬活用が急務

がん治療薬「オプジーボ」

 使い切れずに廃棄された抗がん剤は、2016年7月からの1年間で738億円に相当するとの推計を、慶応大の岩本隆特任教授(経営学)らがまとめた。社会保障費の抑制が課題となる中、医療費削減のため残薬の活用が急がれる。

 慶応大は国立がん研究センター中央病院と共同で、同病院の抗がん剤の平均投与量を基に、抗がん剤ごとの廃棄率を算出した。さらに各抗がん剤の市場規模のデータから廃棄額を計算すると、抗がん剤の廃棄額は合計738億円に上ると推計された。廃棄額が大きかったのは、アバスチン(99.3億円)、オプジーボ(90.7億円)など。

 瓶入りの液体の抗がん剤は患者の体格によって投与量が異なり、1瓶を使い切れない場合もある。しかし1回開封した瓶は、細菌が混入する可能性があるとして、薬が残っていても廃棄するのが一般的だ。

 一方、瓶の残薬を別の患者に活用した場合、細菌の混入を防ぐ器具のコストなどを考慮しても、560億円の薬剤費を減らせると試算した。廃棄額が年間10億円を超える16薬剤に限定し、規模の大きい病院のみで実施しても528億円の削減効果があるとしている。

 抗がん剤の市場規模は5年前に比べて1.5倍に拡大している。岩本特任教授は「薬剤が高額化する中で、安全性を担保しながら無駄を削減する努力が必要だ」と話す。

 厚生労働省は注射用抗がん剤などの残薬を活用するための安全対策や手順を定める指針を今年度中に作成する方針。【下桐実雅子】

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