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余録

駅にはそれぞれの顔がある…

 駅にはそれぞれの顔がある。季節感が漂えばなおさら顔立ちがはっきりする。<上野発の夜行列車おりた時から 青森駅は雪の中 北へ帰る人の群れは誰も無口で-->。石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」。作詞は阿久悠(あく・ゆう)さんである▲正月休みで故郷へ向かう人々の顔も駅によって異なる。昭和の歌謡界を代表する作詞家には、そう見えたようだ。「東京駅から故郷へ帰る人は東京人のまま家へ行くが、上野駅から帰郷する人は、既に上野で東京を脱ぎ捨てているかのように思えた」(著書「歌謡曲春夏秋冬」)▲上野駅は東北の玄関口だった。集団就職する若者の応援歌「ああ上野駅」に歌われた乗客には、ほかの駅よりも故郷の匂いがしたのだろう。だがそれも昭和のころまでだったように感じる▲昭和とはどんな時代だったか。阿久さんは同書でこう振り返る。「今になって語られるほどいい時代であったかどうかは疑問である。(略)それにも拘(かかわ)らず、平成の世になって昭和をいとおしく思うのは、人間のいとなみが健気(けなげ)にいじらしく存在したということであろうと思う」▲平成があと16カ月で終わる。昭和と比べながら振り返ることも増えるだろう。阿久さんが見届けたのなら平成の終わりをどう詞にしただろうか▲阿久さんはこうも思う。人生のあとさきを深く考えることは、白地図の上に駅と駅を鉄路で結んでいくようなものであると。昭和、平成、そして次へ。私たちの目の前には、時代という駅をつなぐ白地図もある。

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