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社説

論始め2018 中国との大競争時代 民主国家は負けられない

 今年は1978年8月の日中平和友好条約調印から40年の節目だ。同年12月には米中が翌年からの国交正常化を発表し、最高権力者のトウ小平(とうしょうへい)氏が輸出主導型の経済発展を目指して改革・開放政策に踏み切った。

     中国にとっては国内外で高度成長の環境が整ってから40年ともいえるだろう。日米中の経済関係が40年前とは比較にならないほど密接になる一方、中国の軍事大国化や海洋進出で政治的な関係は複雑化している。

     トランプ米政権は中国を現在の国際秩序への挑戦者とみなし、競争相手と位置づける。技術革新でさらなる発展を目指す中国と日米の競争は激しさを増しそうだ。同時に共存を図る知恵が求められる。

    米脅かす中国の技術力

     習近平(しゅうきんぺい)国家主席は昨年10月の共産党大会で今世紀半ばに「社会主義現代化強国」を実現するという目標を掲げた。2030年ごろに中国の国内総生産(GDP)が米国を抜くとの見通しも現実味を帯びてきた。

     中国が重視するのが先端技術開発だ。昨年7月には30年までに人工知能(AI)技術で世界トップ水準に立つという国家戦略を発表した。科学技術予算や研究開発費を増やし、人材育成にも力を入れる。

     グーグルなど米国の大手IT企業幹部からは50年代に人工衛星打ち上げで旧ソ連に先を越された「スプートニク・ショック」の再来を懸念する声まで出ている。

     採算が取れない多くの国有企業を抱えた中国が構造改革の難題を突破し、新たな発展のエンジンを得られるのか。疑問は少なくないが、短期間に世界最長の高速鉄道、高速道路網を造り上げ、社会保障整備も進めてきた中国の統治能力は侮れない。

     途上国の中には中国型の権威主義体制を発展モデルと考える国も出てきている。毎年、中国式統治の研究のため、国家行政学院を訪れる研究者や公務員らは数千人に達する。

     「米国優先」を掲げるトランプ米大統領の誕生で米国が理想を唱えなくなったことが中国を利している面もある。世界的な格差拡大、欧州での移民排斥の動きなども民主主義の輝きを失わせている。

     習氏は「人民の日増しに増大するすばらしい生活への需要」を満足させることを最重要課題に掲げる。物質的な豊かさは実現可能かもしれない。しかし、言論や宗教の自由が保障されない社会で人々が精神的な豊かさを享受できるかは疑問だ。

     「獄死」したノーベル平和賞受賞者の劉暁波(りゅうぎょうは)氏のように自由を渇望する中国人は決して少なくない。民主主義国家が優位性を示し続けることが、中国など権威主義国家の民主化を促すことにつながるはずだ。

     極限まで拡大した貧富の格差や地球温暖化への対処などグローバリズムがもたらした弊害を民主主義国家が率先して解決に導いてこそ、民主主義の優位性が保てる。中国との競争で心に留めるべきことだろう。

    「覇権求めず」再確認を

     少数者や弱者への目配り。時間をかけた国民的合意の形成。多様な価値観の容認。こうしたリベラルな価値観も優位性の一つだ。それを軽視し、効率を追い求めるだけでは中国の監視社会化を批判できまい。

     72年の日中共同声明は互いに体制の違いを認め合った上で協力していくことを明記している。緊密化した経済関係や朝鮮半島情勢の緊迫化を考えれば、競争の一方で共存を図る必要性はさらに高まっている。

     もちろん共存のためには中国の変化が必要だ。東シナ海や南シナ海への強引な海洋進出、経済力を使って他国を威嚇するような強圧的な態度は覇権国家そのものに映る。

     日中平和友好条約は互いに覇権を求めないことを明記している。ソ連を念頭に中国が求めた条項だ。習氏も覇権主義にはならないと明言している。実際の行動で覇権を求めない姿勢を示すことが日本の対中感情の改善にもつながるだろう。日本も日中戦争への反省が国交正常化の前提だったことを忘れるべきではない。

     今年は日中両国首脳の相互訪問の実現が期待される。将来をにらんで対等な立場で東アジアの安定に資する関係を再構築することが不可欠だ。変化するお互いの実像を正確に捉え直すことも必要だろう。

     増大する中国人観光客が日本に好印象を持ち、対日感情が改善していることは好ましい動きだ。民主主義国家としての日本の魅力を高めていくことが長期的には日中関係にもプラスに働くのではないか。

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