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女は死なない

第15回 大掃除、しなくちゃいけない? =室井佑月

 あけましておめでとうございます。

     といっても、この原稿を書いているのは年末で、猫の手も借りたいほどの忙しさだ。

     よってあたしは、大掃除するのをやめた。

     2017年は12月29日までレギュラーのラジオの仕事があって、2018年の1月4日からレギュラーのワイドショーだ。いいや、その前日の3日、日刊紙の締め切りがある。

     冬休みは、12月30日から1月2日までのたった4日間。短い。

     掃除で、せっかくの休日を潰してたまるかっ。

     日常生活行動の中で、あたしが最も嫌いなのは掃除だもん。

     最低限はしている。だからもう、いいんじゃないかと……。

     12月31日と1月1日はつながっているわけで、べつに掃除をしなくても新年はやってくるのだし。

     風水や占いなどでは、新年に向けて掃除をしないと、良い年を迎えられないとかいわれているけど。あのいい伝えはほんとうなのかね?

     良い年か悪い年か判明するのは、その年が明けるくらいなんじゃないの? だとしたら、掃除というより、その年をどう過ごすかにかかっているのではないか?

     ま、風水や占いが、伝えたいこともわからないでもない。

     食べ物を扱う台所を奇麗にしておかないと、悪い菌に侵され病気になってしまったりする。

     そこから、水回りを奇麗にしないと健康運がうんぬんといわれるようになったのだと思う。

     じゃ、玄関を奇麗にしないと人間関係がうまくいかないとか、邪魔なものが多いと金運が上がらないというのはどうだろう。

     そりゃあ、お客様を呼んだとき、はじめに通す玄関が奇麗であったほうがいいわな。その家のファースト・インプレッションを与えることになるだろうから。

     意味のない邪魔なもので部屋が溢(あふ)れているってことは、無駄遣いが多いってことだ。無駄使いしていたら、お金はたまらないだろう。

     一理ある。が、それがすべてじゃないと思う。

     こういうのって、若い子向けの雑誌で特集している「異性が好きな髪形」とか「モテる服装」ってのと似ている。どっちも、適当におしゃれに見えて、適当に流行を追っていて、無難で誰からも不快感を持たれないってことだったりする。

     過去に、異性に熱烈に愛されたことがあるけど、髪形が気に入られてとか、服装が好みだから、という理由から求愛されたことなどなかったもの。

     性格が明るそうだから、強そうだから、その裏に隠された繊細さが、いじましさが……などという内面よね、愛されるのは。

     いいや、「君の顔が好き」といわれたこともあったっけ。あの時は、「この人はほんとうにあたしのことが好きなんだわ」と感じて、ものすごくうれしかった。

     明るいところが好きといわれても、ほんとうの自分はそうじゃないと感じる。他人に全部、見せているわけじゃないから。自分だけは、見せていない部分の自分も知っているわけで、そっちのほうがほんとの自分だと思ってたりする。

     この人と一緒にいる間は、ずっと明るくしていないといけないのか、などとプレッシャーにもなる。

     顔が好き、といわれれば、それはそのままあたしの顔が好みなんだなぁと思うだけ。

     あ、話が脱線してしまった。年末年始の話に戻す。

     とにかく、大掃除はしないと決めた。でも、仲の良い友人は何人か、やって来ると思う。息子も地方の寮のある学校から帰って来るし、あたしたち親子に会いに。

     気を使いそうな旦那がいない、ということが大きい。その次に大きな理由は、アクセスの良い場所に家がある、ってことだ。

     帰省しなかった友人たちは、うちに来る。入念に掃除されていそうもない、我が家にふらりと寄るのは気楽だろう。てか、気楽な我が家には、力の抜けた気楽な人間しか来ないと知っているから、自分がお邪魔しても気楽なのか。

     一言でいえば、あたしの家が好きなんだ。

     おまえの家が好きだという人に、特別な、普段はさほどしていないなにかを見せる必要はない。それをしたら、うちの良さが変わってしまう。

     ……なーんて、年末の大掃除をしなくてもいい理由をこねくり出してみましたが、駄目ですかね?

     掃除は諦めたが、新年に訪れるだろう友人のために、この原稿を書き終えたらちょっと良い酒を買い出しにいくつもり。気配りの仕方も完全にあたし流。泊まっていくなら新しいタオル出すよ。

     2018年が良い年でありますように! 

    室井佑月

    1970年、青森県生まれ。雑誌モデル、銀座・高級クラブでのホステスなどを経て、1997年に「小説新潮」主催「読者による『性の小説』」に入選し、作家デビュー。小説家、随筆家、タレントとして多岐にわたり活動している。2000年に第一子となる男児を出産。2016年には、一人息子の中学受験と子育てについて愛と葛藤の8年間を赤裸々に綴ったエッセー『息子ってヤツは』(毎日新聞出版)を上梓。主な著書に『熱帯植物園』(新潮社)、『血い花』(集英社)、『子作り爆裂伝』(飛鳥新社)、『ママの神様』(講談社)などがある。

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