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炎のなかへ

/52 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(8)

「さあ、やってくれ」

 三人はおおきなお握りを両手で掴(つか)んで、空き地にしゃがみこんだままかぶりついた。塩味がたまらない。仲のいい友達がそろっているのも実によかった。涙が出そうだ。

「なんなんだ、このうまさ」

 ひと口ごとに塩結びを腹に収めるテツが、頬を銀シャリでふくらませていう。タケシは同級生の手を見た。あかぎれだらけで、血がにじんでいる。荒れた手はミヤもタケシも同じだった。この寒さで栄養が足りないなか、ずっと働かされ続けているのだ。

 握り飯をひとつたべるだけで、人から難癖をつけられないかびくびくしている。こんな空き地にしゃがんで、…

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