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炎のなかへ

/53 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(9)

 せっかくの開戦記念日に銀シャリのお握りまでたべたのだが、極光通信に向かう三人の足どりは重く、口数もすくなかった。

「あの兄貴、弟に自分の分もやってたな」

 テツがぼそりという。

「おれってくい意地張ってるよな。あの兄貴も、おまえらも偉いよ。おれは自分の飯を人にはやれないや。情けない」

 タケシは開戦から何キロもテツが体重を落としたことを知っていた。育ち盛りの中学生がやせ細っていくのだ。苦しくないはずがない。今度はタケシが背中を強く叩(たた)き返した。

「しかたないだろ。丸々してたテツが今じゃすこしぽっちゃりくらいなんだから。戦争が終わったら、腹一杯た…

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