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社説

経団連次期会長に中西氏 政権との距離が問われる

 経団連の次期会長に日立製作所の中西宏明会長が内定した。5月に就任し、任期の4年間、財界トップとしてかじ取り役を担う。

     2010年から日立社長を4年間務め、直前のリーマン・ショックで危機に陥った経営を大胆な改革でV字回復させた。望まれるのは、その手腕を経済再生に生かすことだ。

     日本経済はプラス成長が続くが、外需に頼り消費は停滞している。デフレの長期化で経営者が賃上げに慎重な姿勢からなかなか抜け出せない。デフレ脱却には積極的な賃上げが不可欠だ。中西氏が経営改革の旗振り役となり機運を高めてほしい。

     成長力の強化も欠かせない。有望な成長分野である人工知能(AI)などの推進に向け、ITに精通した中西氏への期待は大きい。

     不正が相次いだ製造業の信頼回復も急務である。各企業に品質管理の重要性を徹底させる必要がある。

     大きな課題は政権との距離だ。

     経団連の榊原定征(さだゆき)現会長が後継指名した決め手の一つは、中西氏が安倍晋三首相を囲む有力財界人会合のメンバーでもあり、政府との協調路線を継承できるためとされる。

     榊原氏は安倍政権と緊密な関係を築いてきた。民主党政権時代に中断した政治献金呼びかけを再開し、法人減税などの成果を得てきた。

     日本経済を支える企業の声を政策に反映させることは大事だ。だが、蜜月一辺倒では経済界の役割を果たしたとはいえない。

     首相が16年の参院選直前に消費増税延期を決めた際、それまで増税の必要性を主張していた榊原氏は延期に理解を示した。ほかの経済団体首脳が批判したのとは対照的だ。

     消費税は高齢化で増え続ける社会保障費の安定財源である。政治が目先の選挙に左右されがちなのに対し、何が国益にふさわしいかを大局的観点から判断し、政府に注文をつけるのが経済界の役割のはずだ。

     ITの進展や情報・通信産業の発展に伴い、製造業が中心を占めている経団連の地盤沈下が進んだ。政権に追随するだけでは存在感がさらに薄れかねない。

     中西氏は会長内定後「政治とは立場が違うので意見の違いも出る。それははっきり言えばよい」と語った。その姿勢を貫けるかが問われる。

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