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支えを問う

地域防災力は今/上 自治体間応援、体制急務 全国職員2割減少

罹災証明書の申請手続きをする熊本地震の被災者ら=熊本県益城町で2016年5月1日、川平愛撮影

 熊本地震本震(最大震度7)発生3日後の2016年4月19日夜。「町外からの応援職員を避難所に出すので、町職員を本部に戻してください」。熊本県益城町の保健福祉センター内に置かれた災害対策本部で、藤森龍・兵庫県広域防災センター長が語気を強めた。

     藤森さんは関西広域連合からの応援組で、聞いていたのは防災服姿の町職員ら約20人。同町の全町職員は約250人いるが、大半が地震直後に町内各地の避難所に回ってしまい、災対本部の業務が混乱。この日、本部入りした藤森さんの元には、他自治体からの支援の申し出への対応や国からの被災状況の照会など、業務が殺到した。

     全国からの同町への応援職員は16年5月末時点で300人を超えた。しかし、地震直後は応援職員の不足に加え、応援受け入れを想定したマニュアルがなく配置の偏りがなかなか解消しなかった。住宅再建や罹災(りさい)証明書発行などの被災者支援の専門チームが発足したのは発生9日後の25日だった。

     行政職員の圧倒的な人手不足は、1995年の阪神大震災でも同様。神戸市長田区役所で震災当日に登庁した職員は約3割の69人。区内の避難者数は3万人を超え、直後は避難所運営だけでも手いっぱい。当時職員だった清水誠一さん(72)は「全国各地からも応援が入り、3週間目ごろからようやく復旧業務に取りかかれた」と振り返る。

     「阪神」以降、災害時の応急対応などの面で自治体の役割が強化。役割が重くなる一方、全国の自治体の一般行政職員数(総務省調べ)の総数は95年度の約117万人から2017年度には約91万人で約2割減少し、高齢化も進む。

     南海トラフ地震で被災が予想される1都2府26県に、必要とされる応援職員数(管内市町村含む)について毎日新聞がアンケートしたところ、宮崎県は7549人、高知県は940人と回答した。

     総務省の応援派遣の研究会に参加していた静岡県のある幹部は「『東日本』の被災地に静岡県と県内全35市町村が合同で派遣した職員は1日平均約30人。果たして大量の応援を出してくれる自治体があるのか」。兵庫県の職員は「事前に被災県を支援する都道府県のペアを決め、訓練を重ねるべきだ」と提案する。

     受け入れる側の備えも問われている。国は市町村に「受援(じゅえん)計画」を策定し、応援職員の業務について規定するよう促すが、総務省消防庁によると、昨年6月時点で規定していたのは全市町村の6・3%にとどまる。

     南海トラフで甚大な被害が予想される高知県沿岸部で唯一、今年度中の受援計画策定を目指す香南市。昨年暮れ、地域防災会議があり、熊本地震で応援職員が当初、どの業務につけばいいかわからず混乱した--などの事例が報告された。同市防災対策課の野島浩一課長は「『熊本』では支援物資も滞った。地元の流通、運送業者とも協力を進めたい」と話す。

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     阪神大震災から間もなく23年。「地域防災力」は将来の大災害時に機能するのか。現状と課題を探った。(次回から2面)

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