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プロに聞く受験2018

国語編 「みんな人生という小説を書いている」

「変化は、ウエルカム。そう思えるように努力しよう」と話す霜栄講師=中嶋真希撮影

 駿台予備学校で受験生を指導するプロの講師5人に受験本番直前の勉強法や心構えを聞く「プロに聞く受験」。現代文を指導する霜栄講師は、「普段使う言葉で日本語を捉える科目だけに、わかった気になりがち」と言う。問題文の筆者が伝えたいことに向き合い、「わかった気にならない」勉強法とは。【聞き手・中嶋真希】

 --直前期は、暗記科目を優先しがちです。現代文とどう向き合えばいいですか。

 「現代文は、思考力をきたえる科目だということを意識するように」と言っています。自分が使っている言葉を正確に理解できるということは、思考をコントロールできることにつながります。直前期にやらないと、思考力もにぶくなります。

 現代文は、普段使っている言葉を使って現代の日本語を捉えようとするので、あまり輪郭がはっきり見えてこない可能性があります。そうすると、自分の思考力をきたえることができない。その輪郭をはっきりさせるのが、現代文の勉強です。作物を育てる係ではなく、土壌作りに近い。だから、国語ができるようになる生徒は、ほかの科目もできるようになります。

 --輪郭が見えないから、問題を解いて勉強した気になってしまいがちです。

 日本語だから、すぐわかった気になってしまいます。現代文では、「できた」と思って答案が返されると、実はできていなかったということが、ほかの科目に比べてよくあります。でも、確実に読めるようになれば、そういうことは起こらなくなります。自分の頭の使い方を意識できるようになっているからです。

 --そのために、どのように勉強すればいいですか。

 解説を読んでわかった気になるのではなく、なぜその答えが出てくるのか、もう一度問題文にもどって自分で理解しないと成長しません。知識を積み上げる科目ではないから、今までぼんやりと思っていたことがつながり始めると、いろいろな問題をすくいとれるようになります。だからこそ、一気に成長できる。勉強してきたけど、できるようになっていないという人が一番チャンスを握っています。

 とにかく客観的に文章を読むことです。「客観的」とは、筆者の主観を知ること。筆者がどう思ってこの文章を書いているのか、つかんでやろうという気持ちを持つことです。筆者は、一生懸命、伝えたくて書いています。伝えるために、ここに「しかし」「つまり」を入れたり、ここで具体例を挙げたりしている。そんなふうに読んでいくと、何を伝えたいのかがわかってくる。作者の気持ちをわかることで成績が上がるのは、お客さんの気持ちがわかる店員さんが優秀であるのと一緒です。作者の気持ちがわかる受験生が優秀なのです。

 それから、文章が持つ形式に慣れること。接続語だとか、例を挙げるとか、段落が切り替わっているとか、それって内容ではなく、「形」。できない人ほど、「形」を考えず、中身ばかり考えがち。できる人は、「形」を見ているから、客観的に解答を出します。あらゆる言葉が、作者の主観を前提に成立していることを常に意識すれば、ほかの科目にもいい影響を与えます。少しでも現代文の成績が上がれば、ほかの教科は、かなり上がります。

 --国語がほかの科目とつながっていることに気づいてほしいですね。

 多くの受験生は、勉強している科目が横につながるという意識がなく、国語は国語、理科は理科と考えてしまいがちです。どの科目もつながっているんです。それが見いだせると、勉強が楽しくなる。できる子って、つらい努力だけではなく、勉強のおもしろさも知っていることが多いです。

小説は、縁遠くない

--小説が苦手な生徒が多いそうですね。

 小説は、自分と縁遠いものと思ってしまっています。自分の生活や将来に必要のないものと思ってしまえば、当然やる気は出ません。小説は、文字だけで書かれている世界を頭の中で映像化して作りあげていくことが、おもしろさであり、問題を解くのに必要です。最初から「いやだな」と思っていたら、思い浮かぶはずがない。だから、解けない。

 私たちは生きている間に、頭の中で小説を書いているんです。日々起こったことを頭の中でつなぎあわせて、自分を主人公にして「こんな一日だった」「こんな一年だった」と、小説を書き続けている。縁遠いはずがない。「こんな小説を書く人もいるんだ。おれも人生という小説を書いているけどな」って、そう思って取り組んでほしいです。

 --評論文に関しては、昨年は、センター試験と東大で「人間と科学の関係」について出題されました。

 特に東大では、時流を捉えた内容の文章が出ます。センター試験も、どちらかというと時代の流れに沿った中身が多いです。東大は、問題文を読むだけで、いつごろ出題されたものなのか、わかりますよ。普段から、現代がどういう時代なのかを考えておくことが大切ですね。一方で、京大はもう少し普遍的な、いつの時代でも大切なことを問う文章が出てきます。

「変化は、ウエルカム」

 --今年の傾向は?

 従来のセンター試験が、あと3回で終わります。共通テストの新しい形がだいぶ見えてきています。そういう時は、問題の傾向が変化する可能性もあります。試験会場で問題を見た時に、もし今までと傾向が変化していたら、喜ぼう! 変化は、ウエルカム。楽しい。そう思っていれば、パニックを起こして失敗せずに済む。変化がなかったら、もちろんラッキー。そんな柔軟な気持ちで試験会場に行ってほしいですね。

 2次試験だって、いつ変化するかわかりません。例えば、図やグラフを見て解く問題が、昔より増えています。自分が受ける大学で、いつそういう問題が出てきてもおかしくない。ただ、新しい傾向の問題で、難しい問題はまず出ないですよ。お得な問題。「こんなの見たことない」と焦ると、損をしてしまいます。

 --受験生にメッセージを。

 「変化は、ウエルカム」という気持ちになれるように、ぎりぎりまで努力すること。入試直前まで基礎を大切に勉強すること。直前までやったぞと自分に自信を持って、試験に臨んでください。

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