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炎のなかへ

/54 アンディ・タケシの東京大空襲 石田衣良 望月ミネタロウ・画

三月八日(10)

 タケシは胸をつかれて、うつむいてしまった。黒い革靴とゲートルを巻いた足が見える。いつまで自分はこんなゲートルを巻くのだろうか。この戦争は百年続くという大人もいた。戦地に赴き三カ月もたたずに戦死した若者は町内にも無数にいる。戦死の知らせが届くたびに、町会の役員が集まって残された家族を褒めたたえ、ときに万歳をするのだ。

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