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イエメン

サウジとミサイル戦 「フーシ」80発超発射 

 【ワシントン会川晴之、カイロ篠田航一】イエメンのイスラム教シーア派系武装組織「フーシ」と隣国サウジアラビアが「弾道ミサイル戦」を続けている。フーシはこれまでに80発以上を発射し、一部は後ろ盾のイランが供給したとの指摘もある。サウジは同盟国・米国の迎撃ミサイルで対抗。中東での影響力を競うイランとサウジ・米国陣営の代理戦争は、ミサイル分野でも拡大中だ。

     フーシはイエメンの首都サヌアを含む北西部を実効支配し、南部アデンを拠点とする暫定政府と内戦中だが、暫定政府を支援して介入したサウジとも戦っている。

     フーシは、歴代のイエメン政府が旧ソ連や北朝鮮から調達した弾道ミサイルを掌握。射程1000キロの新型ミサイル「ブルカン2H」も5回発射した。「スカッドC」ミサイルを改造したと見られる同ミサイルについてトランプ米政権は、回収した部品などを基に「イランが供給した」(ニッキー・ヘイリー国連大使)と見ている。

     相次ぐフーシのミサイル攻撃を受け、サウジは主要収入源である北部のペルシャ湾岸油田地帯に配備していた弾道ミサイル防衛(BMD)システムの一部を移転。首都リヤドや、イエメン攻撃用の空軍基地がある南部に展開した。サウジ側はフーシの弾道ミサイルは「全て撃墜した」と主張。今月5日にあった南部ナジュランの軍事施設への攻撃も迎撃に成功したとしている。

     だが、サウジのBMD能力には疑問を投げかける専門家もいる。米ジェームズ・マーティン不拡散研究センターの核・ミサイル専門家、ジェフリー・ルイス博士らのチームは、昨年11月に首都リヤドの国際空港が攻撃を受けた際に「弾頭でなく胴体部分を迎撃した可能性が高い」と指摘した。弾頭が破壊されなければ地上で爆発し被害が大きくなる可能性がある。

     サウジは弾道ミサイル迎撃のため、米レイセオン製の「PAC2」と、より迎撃能力が高いとされ日本も導入済みの米ロッキードマーチン製「PAC3」の両方を調達済みだ。しかし専門家の多くは「PAC3はまだ実戦配備されていない」と見ている。

     【ことば】イエメン内戦

     イエメンでは2014年夏以降、ハディ暫定政権とイスラム教シーア派系武装組織フーシの戦闘が激化。15年3月にサウジアラビア主導のアラブ諸国連合軍が介入し内戦が国際化した。連合軍の空爆で民間人1万人以上が死亡したとされる。

    「イラン関与に説得力」

     英国際戦略研究所ワシントン事務所のミサイル専門家 マイケル・エレマン上級研究員

     イエメンは旧ソ連や北朝鮮から「スカッドB」ミサイルなどを調達してきた。ただ、これらのミサイルの射程は最大500キロで、そのままではイエメンから約1000キロ離れているサウジアラビアの首都リヤドには届かない。

     イランは、1980年代のイラン・イラク戦争中にシリアや北朝鮮から「スカッドC」を調達、その後、改造する技術を得た。飛距離を伸ばすためにミサイルの胴体をステンレス製からより軽量のアルミニウムにしたほか、弾頭部分を小さくしたのが特徴だ。

     ヘイリー米国連大使が示したミサイルの残骸は、明らかに「スカッド」だ。アルミを使用している点などから見て「フーシのミサイルにイランが関与した」との米政府の主張には説得力があると感じる。【ワシントン会川晴之】

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