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社説

商工中金の改革提言 結局は延命にならないか

 既に役割を終えた政府系金融機関を延命させるだけではないか。

     大規模な不正融資問題を起こした商工中金の改革を巡り、経済産業省の有識者検討会が提言をまとめた。

     不正は、民間金融機関を補完する政策金融の立場を著しく逸脱した。中小企業を低利で支援する国の制度を自らの業績拡大に悪用した。社長には経産次官経験者が天下りし、経営陣の監督もずさんだった。

     抜本的な見直しが急務だが、その土台になる提言の内容は極めてあいまいである。

     問題の融資制度を大幅に縮小し、国に頼らない業務に注力するようには求めた。しかし完全に民営化するかは、こうした改革の成果を踏まえ4年後に判断すると先送りした。

     まず改革がうまくいくか疑問だ。担保が不十分でも中小企業を支援できる業務の開拓が柱だが、目利き力が問われる難しいもので民間金融機関も苦戦している。国の信用をバックにお役所仕事を続けてきた商工中金にはもっとハードルが高い。

     引責辞任する現社長の後継は民間人の起用が決まった。それでも体質を変えるのは容易でないだろう。

     さらに提言は、改革の成果が出なかった場合の対応にも触れていない。影響力を残したい経産省に加え、中小企業の票を当てにしている与党も民営化には消極的だ。民営化せずに、ほとぼりが冷めるのを待って、今の体制を温存する余地を残したとみられても仕方がない。

     商工中金は、小泉政権の政策金融改革に伴い完全民営化が法で定められた。しかし、その後のリーマン・ショックなどを受け、政府・与党が民営化を棚上げした経緯がある。

     そもそも商工中金は統廃合が検討されるべき対象である。

     戦後しばらくは、資金の乏しい民間金融機関に代わって、中小企業を支えてきた。経済が成熟し、カネ余りが目立つようになった今は政策金融全体を見直す時期だ。

     中小企業の安全網として政策金融は重要である。ただ商工中金が担う必要はない。同じ中小企業向け融資を扱う日本政策金融公庫との統合も選択肢のはずである。

     4年後では不正融資問題の記憶も薄れ、改革の機運もしぼんでしまう。もっと前倒しで検討すべきだ。

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