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余録

夏子は14歳の中学生…

 夏子は14歳の中学生。学校には居場所がない。出会ったのは一つ年上の月島。2人は長い時間をともにし、傷つき、悩みながら成長していく。人気バンド「SEKAI NO OWARI」(世界の終わり)のメンバー、藤崎彩織(さおり)さんの小説「ふたご」だ▲初めての作品があす発表の直木賞にノミネートされ、若者によく読まれている。夏子たちがバンドを結成してライブを開く。藤崎さんの人生と重ねる読者も多い▲夏子は小学生の時にひどいいじめに遭う。藤崎さんは雑誌のインタビューで話している。「すごく悲しい過去がたくさんある。靴に画びょうを入れられたりとか、ランドセルに死ねって書かれたり……」。ボーカルのFukase(深瀬)さんも学校になじめず、自身の発達障害にも苦しんだ。彼が月島のモデルだろう▲彼らは世界が終わったように、何もないどん底から音楽を始めた。その思いがバンド名に込められている。Fukaseさんは「(こんな自分だから)逆にそれは自分は劣等生だと思ってた奴(やつ)にも希望を与えられるものなのかもしれないし、病気で苦しい奴らにも……」と話している。藤崎さんに小説を書くよう勧めたのも彼だった▲彼女が作詞した「プレゼント」という曲がある。<いま君のいる世界が 辛(つら)くて泣きそうでも それさえも「プレゼント」だったと笑える日が必ず来る>▲つらい経験をしたからこそ心打つ音楽や小説を生み出せる。そのことを今、苦しみを抱えている子供たちに知ってほしい。

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