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社説

中高年のひきこもり 深刻な実態の把握を急げ

 ひきこもりは子どもや若者の問題と考えられてきた。

 不登校がきっかけで始まり、学齢期を過ぎても延長している人がいることに焦点が当てられてきた。

 ところが、今は中高年へと軸が移りつつある。親も高齢化し、深刻な困窮家庭が増えていることが懸念される。そこで、政府は40~59歳を対象にした実態調査を行う。

 ひきこもりが長期化するほど病気や障害、貧困など複合的な問題を抱えやすくなる。早急な実態把握と対策が必要だ。

 政府が過去2回行った実態調査の対象年齢は15~39歳だ。2010年の調査では「学校や仕事に行かない状態が半年以上続いている人」は約70万人。15年は約54万人に減った。ただ、ひきこもりの状態が「7年以上」の人は17%から35%へと増え、長期化と高齢化が進んでいる状況が浮かんでいた。

 自治体の調査の中には、ひきこもりの年齢層は40歳以上が最も多いという結果がある。40歳を過ぎてもひきこもっている人では、ひきこもりの平均期間が22年以上に及ぶとの調査結果もある。

 バブル崩壊後の1993~05年は「就職氷河期」と呼ばれる。待遇のよい仕事がなく、非正規雇用やニートになる新卒者も多かった。一部は中高年のひきこもりと重なる世代だ。安定した就労や自立につなげないと、今後も中高年のひきこもりが増えていく可能性がある。

 最近は80代の親が50代の子の面倒を見る「8050問題」も新たな社会的課題として浮上している。

 公的な支援がない中で、追い詰められる家族は多い。高齢の親が障害や病気を抱えた40~50代の子の将来を悲観して無理心中を図る事件は各地で起きている。

 高額の料金を取ってひきこもりの人を支援するビジネスも増えている。中には科学的な根拠が不明で効果もないスパルタ式の訓練を課している業者もあると指摘される。

 政府の実態調査は、中高年のひきこもりの推定人数だけでなく、家族を含めた生活実態や健康状態の把握にも努めるべきだ。自治体やNPOとも協力し、早期の救済策、親亡き後の支援などについて対策を講じなければならない。

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