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阪神大震災23年

妹思い語り部に 「東日本」に影響受け

妹の久村文枝さんの写真を見つめる松本幸子さん=兵庫県芦屋市で2018年1月17日午前6時、久保玲撮影
久村文枝さん=松本幸子さん提供

 「生きていたら、妹は還暦。第二の人生で一緒にいろんなことができたんじゃないか」

 17日早朝、パート従業員の松本幸子さん(63)は兵庫県芦屋市の自宅で、23回目の命日を迎えた妹久村文枝さん(当時37歳)の写真を見つめ、祈りをささげた。3歳下の気の合う妹に先立たれた悲しみは深かったが、東日本大震災の被災者に影響を受け、約3年前から語り部を始めた。震災の記憶の風化を止めたい。「神戸で何が起きたか、私も伝えないといけない」

 4人きょうだいの長女・松本さんはアウトドアが趣味で、旅行好きの三女・文枝さんと気が合った。1995年1月15日午後、2人はJR芦屋駅近くの喫茶店で海外旅行に行く計画作りに盛り上がっていた。2時間ほど過ごし、夕方に「またね」と言って別れた。16日、文枝さんは芦屋市内の実家に立ち寄り、母から「泊まったら」と誘われたが、神戸市東灘区の自宅に帰った。そしてあの日を迎えた。

 「(文枝さんが)心肺停止状態。家族で病院に来て」。松本さんは当時、同県西宮市内に住んでいた。家具が散乱する自宅でぼうぜんとしていた松本さんに、親戚が電話で早口に告げた。芦屋の実家で家族と合流し、東灘区内の病院でパジャマ姿の妹と対面した。眠っているような、きれいな顔。アパートの1階で、崩れた2階の下敷きになっていたという。

 東日本大震災後の2014年、ボランティアで訪れた福島県浪江町で、元漁師の男性に被災経験を聞いた。津波や原発事故で家も仕事も失いながらも、経験を語る姿に心を動かされた。「安全神話は崩れたはず。なぜ、地震の多い日本に今でも原発があるのか」。そして15年4月、語り部として活動を始めた。

 次の地震が近づいているのではないか、との不安が日増しに募る。備えることで、できる限り被害を防ぎたい。「話すことは難しいし、記憶がよみがえってつらい。それでも、生き残ったから伝えないといけない。それが、妹の命に報いることになる」【待鳥航志】

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