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社説

カヌー選手の薬物混入 「まさか」を防ぐ策も要る

 他者をおとしめるドーピング違反にスポーツ界が揺れている。

     2020年東京五輪出場を目指すカヌーのトップ選手がライバルの飲料に禁止薬物を混入した。相手選手を追い落とすドーピング違反の発覚は国内で初めてという。

     スポーツの本質であるフェアプレーの精神を根底から覆す出来事だ。スポーツ庁はきょう緊急会合を開き、国内の全競技団体に再発防止などを求める。

     昨年度、国内では約6300のドーピング検査が行われたが、「アンチ・ドーピング規律パネル決定報告」によれば、違反はわずか5件だ。違反率は0・1%にも満たない。07年度からの10年間でも、違反率は高い年で0・2%に過ぎない。

     その世界トップ級のクリーンさのためか、薬物の混入対策が正面から議論されてきたとは言い難く、大会を運営する側に飲料などの保管体制に甘さがあった面は否めない。

     仮に故意に薬物が混入されたとしても、ドーピング検査で陽性反応が出た場合、「無実」であることを証明する責任は選手側にある。

     今回は、加害選手が混入を告白したことで、被害選手が違反を犯していないことが認められた。もし告白がなければ、被害選手には長期の資格停止処分が科され、東京五輪への道は閉ざされた可能性が高い。

     海外では日本選手も注意を払っている。スタッフに飲料を管理してもらったり、未開封以外のペットボトル飲料は口にしなかったりと対策を講じている。

     今回は、国内の大会だっただけに「まさか」との思いはあったのだろう。また、競技によっては費用面で十分なスタッフを抱えられない選手もいて、自衛には限界がある。

     それゆえに競技団体には徹底した管理を求めたい。

     日本カヌー連盟は今後、大会中に選手の飲料を預かって一括保管する場所を設け、警備員を置く。監視カメラも設置するという。他の競技団体でも進める必要がある。

     ジュニア世代からの教育も必要だ。強く、速くとの欲求は競技者として当然の思いだが、ドーピングはスポーツや競い合う仲間への背信行為である。それを粘り強く説いていかねばならない。

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