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社説

配偶者の相続を優遇 時代に対応した見直しだ

 夫婦の一方が亡くなった時、配偶者の生活をどう守るのか。

     法相の諮問機関である法制審議会の部会が、民法の改正要綱案をまとめた。制度変更の柱は二つある。

     配偶者に対し、原則として亡くなるまで自宅に住み続けられる「居住権」を新たに設けることが一つだ。

     住宅の権利は所有権と居住権に分割され、居住権は住むだけの権利だ。平均余命から算出し、その評価額は、現在の所有権より低くなる。

     配偶者と子が2分の1ずつという相続割合は変わらないため、住宅以外の現金などの相続が増える。老後の生活にとってプラスだ。

     もう一つの柱が、結婚20年以上の夫婦は、生前贈与や遺言により、住宅を遺産分割の対象から除外できることだ。現行法では、遺産分割のため住宅の売却を余儀なくされるケースがある。その懸念がなくなる。

     配偶者が亡くなった高齢者にとって、住み慣れた住宅に住み続けられるかどうかは切実な問題である。

     協力して生計を営んできた結婚生活の歴史を考慮し、相続面で優遇するのはもっともだ。高齢化社会の現状に対応した見直しといえる。

     今回の改正では、相続に介護実績を反映させ、相続人以外に金銭請求権を新たに与える仕組みも注目される。たとえば、義父を介護してきた息子の妻が該当する。

     介護保険制度の下での要介護者は2014年度末で約600万人だ。実の子以上に介護に尽力している人は少なくない。介護の苦労が報われるのは妥当だろう。

     相続など民法の規定は、時代や社会の変化に伴って見直されてきた。

     たとえば、配偶者と子の法定相続分が各「2分の1」の規定は、1980年に改められた。それまで配偶者は「3分の1」だった。

     今回の見直しは、結婚していない男女間の子の相続分を「婚内子の2分の1」とする民法の規定の撤廃がきっかけだ。正妻の保護策を求める声が自民党から上がったことが議論のスタートラインになった。

     その結果、事実婚の相手方は優遇されないことになった。しかし、法律婚と同様に夫婦としての実態があれば、別扱いにする理由はないのではないか。家族の多様化に即したさらなる見直しは今後の検討課題だ。

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