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子宮頸がんワクチン

厚労省資料「認知機能低下」記載省く

 子宮頸(けい)がん予防のHPVワクチンを巡り、厚生労働省が改訂を進めている医療従事者向けの説明資料の内容に、副作用被害を訴える患者らの間で異論が出ている。副作用の報告例から、記憶障害や学習障害といった認知機能に関する記載がなくなったためだ。認知機能の低下は、国の救済制度で補償されたケースの約半数で確認されている。当事者は「多くの人が苦しんでいる症状を『ない』ことにしないで」と訴える。【清水健二】

 同ワクチンは、副作用報告の多発による接種呼び掛けの中断から4年半がたつ。厚労省は国民への情報提供を強化する観点から、接種を受ける本人、保護者、医療者向けのリーフレットの更新を決め、昨年12月の有識者検討部会に改訂案を示した。

 医療者向け資料では、接種後に多様な症状が出る仕組みとして、痛みをきっかけにさまざまな不調が起きる「機能性身体症状」が考えられるとの説明を追加。主な症状を(1)知覚(痛みなど)(2)運動(脱力など)(3)自律神経(動悸(どうき)など)--の関連と整理し、従来より細かく解説した。

 一方で、これまでは羅列した形で書かれていた症状のうち、睡眠障害、月経不順、学習意欲の低下、記憶障害などは、改訂案には記載がない。

 記憶障害などの認知機能低下は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用被害救済制度で昨年11月までに「接種との因果関係が否定できない」として医療費や医療手当を給付された246件中、54%の134件で認められている。日本医師会(日医)と日本医学会が2015年にまとめた接種後の症状に対する「診療の手引き」でも、問診の留意点に、痛みや倦怠(けんたい)感などと並び「認知機能の異常」を挙げている。

 また、国と製薬会社に損害賠償を求め提訴している原告124人に弁護団が緊急アンケートしたところ、約8割の102人に記憶や学習の障害の経験があり、うち70人は今も苦しんでいた。多くは中高生で接種し、影響は「簡単な漢字が書けない」「友人の顔や教室の場所が分からなくなる」など深刻だ。弁護団の水口(みなぐち)真寿美代表は「記載されないと『詐病』と言われて傷つく患者が増えるのでは」と懸念する。

 厚労省の担当者は「認知機能の低下も機能性身体症状の一つとして捉えており、過小評価はしていない。さまざまな意見を踏まえて最終的な文面を決めたい」と話す。

外す理由はない

 日医の「診療の手引き」編集メンバーだった峯真人・日本小児科医会理事の話 接種後に複合的な症状が出る中で、記憶障害などが見られることはあり得る。因果関係の有無に関わらず、こうした症状で苦しんでいる患者がいるなら、記載から外す理由はない。接種に当たって十分な準備と心構えをしてもらうための情報提供が必要だ。

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