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社説

トランプ1年 米国の品格 高慢さが世界を暗くした

 世界が暗く、息苦しい。

     核戦争含みの北朝鮮情勢や硝煙が絶えない中東情勢のせいではない。

     中世の封建制のような暗さと息苦しさが超大国から世界へ広がった。

     昨年1月20日、「米国第一」を掲げて就任したトランプ米大統領は、選挙時の公約そのままに種々の国際協定からの離脱を表明した。

     また、イスラム圏からの入国規制に執念を燃やす一方、数日前はハイチなどの途上国を「肥だめのような国」と呼んだという。その事実を本人は否定しているが、就任1年を前に改めて重大な疑問を覚える。

     トランプ氏の「米国第一」とは結局、イスラム差別、人種差別の同義語ではないのか。同氏が「米国」と言う時は白人男性を優遇し女性や有色人種を軽視する社会を念頭に置いているのではないか。

     性別や人種、宗教などの差別を排し平等な社会を建設する。そんな米国の理想主義や「政治的公正さ」はトランプ政権下で見る影もなくしぼんだ。オバマ前政権の「核兵器なき世界」も過去のものとされた。

     ピュリツァー賞を受けた米ジャーナリスト、デビッド・ジョンストン氏が今月出版した「あなたが思うよりひどい」の中にこんな一節がある。「どんなひどい大統領でも民主主義に不可欠な特質を備えていた。トランプ政権にはそれがない」

     ワシントン・ポスト紙は、トランプ氏の誤った、または国民をミスリードする発言が2000件を超えたと報じた。1日当たり5件以上だ。

     当のトランプ氏は「フェイク(偽)ニュース大賞」を発表するなどメディア攻撃を続けているが、都合よく事実をねじ曲げようとする、高慢とも独善ともいえる姿勢が米国の品格と信用をおとしめてきた。

     とはいえ与党・共和党は秋の中間選挙をにらんで声高にトランプ氏を批判できない。同氏の弾劾を視野に入れる民主党は選挙で上下両院の過半数を握れるか微妙だ。ロシアとの癒着疑惑(ロシアゲート)の捜査を除けば、トランプ氏の再選出馬を阻む大きな障害は見当たらない。

     緊張が続く北朝鮮情勢で失敗して面目を失うこともありえよう。だが、米国のいかなる失敗も日本への大きな打撃になるはずだ。そこに日本特有の息苦しさがある。

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