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ヒバクシャ

2018冬/2 北朝鮮被爆者支援、今こそ 豊永恵三郎さん

北朝鮮や韓国に住む被爆者に思いを寄せる豊永恵三郎さん=広島市中区で2018年1月12日、山田尚弘撮影

 <この命ある限り documentary report 227>

     在韓被爆者の支援に長年携わってきた被爆者の豊永恵三郎さん(81)は今月9日、広島市内の歯科医院の待合室で、毎日新聞朝刊1面の記事を見て重い気持ちになった。「やっぱり新たな核被害者が生まれているんだな」。北朝鮮の地下核実験場付近に住み、2度の核実験後に脱北した元住民2人に、原爆被爆者にみられるような染色体異常が生じているとのニュースだった。

     豊永さんは実態がつかめない北朝鮮の被爆者を気にかけてきた。「これを見てみなさい」。カバンから取り出した「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」の機関紙には、被爆者健康手帳を取得している数少ない北朝鮮在住の被爆者、朴文淑(パクムンスク)さんが2016年9月に日本政府などに送ったとするメールが掲載されていた。「我が国の被爆者は、優れた社会主義医療制度の下で各級の医療機関から無料で当該治療を受けている」としながら、「原爆症治療に必要な医療設備や薬品提供」を求める内容。豊永さんには、核・ミサイル開発を強行して孤立を深めていく国で十分な支援が受けられない窮状がにじみ出ているように感じられた。「今こそ広島の医者が支援に動くなど民間の力が必要とされているんじゃないか」

     ただ、昨夏は韓国からいい知らせも届いた。同国内の約2500人の被爆者のうち約600人が住む陜川(ハプチョン)に広島、長崎に続き世界で3番目となる公的な原爆資料館が開館した。展示資料は少ないが、韓国でも被爆者の高齢化が進む中、体験を継承していく上で重要な施設だという。「日韓の資料館が活発に交流し、平和教育に利用される場所になれば」と願う。

     自身も昨夏から、広島市立基町高の生徒が被爆者から体験を聞いて描く「原爆の絵」のプロジェクトに参加する。被爆者と若者が一つの作品を作り上げる企画の趣旨に希望を見たからだ。これまでに女子生徒2人と会い、腕の皮膚が垂れ下がったまま歩く人を見た場面などを語った。生徒の真剣なまなざしに、力が湧いてくるようだった。

     足腰はめっきり弱ったが、「平和のバトン」と呼ぶ子どもたちへの証言活動は積極的に続けるつもりだ。「若者に原爆の悲惨さを伝えるためならどこへでも行くよ」<文と写真・山田尚弘>=つづく


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     ■人物略歴

    とよなが・けいさぶろう

     横浜市出身。3歳で両親と広島市に移り、9歳で入市被爆。元高校教諭。体調不良で2016年5月、「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」広島支部長を退いた。広島市安芸区在住。

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