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余録

白根山というのは白峰または白嶺から…

 白根山というのは白峰または白嶺から来た名前という。これは深田久弥(ふかだ・きゅうや)の「日本百名山」の草津白根山からの受け売りである。彼はそこで天保年間にこの山に登った儒者の「骨立無膚」という描写を引用している▲全山焼けただれて、骨だけになり、皮膚の肉がない--という火山の姿である。白根山は明治に入ってからも何度か噴火をくり返し、荒涼たる山容と白濁した青色の水をたたえた湯釜の姿をごらんになったことがある方は多いだろう▲今度の噴火はその南約2キロにある本白根山の鏡池近くで起こった。深田は本白根山も登ったが、山頂は火口の形を残しながらも低木に覆われ、はるか昔に火山活動を止めたことを示していた。噴火が予想されるような山ではなかった▲しかしその噴火はすぐ北側の草津国際スキー場を襲った。付近で訓練をしていた自衛隊員や、スキー客が乗り込んでいたロープウエーのゴンドラが噴石に直撃されたという。1人の生命を奪い、11人を負傷させた山の不意打ちだった▲誰もが思い出すのは4年前、噴火警戒レベル1だった御嶽山の突然の噴火で58人が亡くなった惨事である。今度も噴火の警戒はもっぱら「骨立無膚」の湯釜近辺に向けられ、火山活動が見られなかった鏡池はノーマークだったという▲非情な不意打ちを封じる噴火予知にはまだ非力な人間の科学である。だがここは突然の悲運に見舞われた犠牲者の無念を胸に刻み、惨事の教訓を火山防災の前進に一歩でもつなげたい災害列島の住人だ。

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