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余録

「肉食系は菜食主義者より自己中心的だ…

 「肉食系は菜食主義者より自己中心的だ」。もっともらしいが、信用せぬ方がいい。こんな研究を発表してきたオランダの社会心理学者スターペルは研究データの捏造(ねつぞう)と改ざんを重ねた人物だからである▲彼が有名なのは55もの論文を撤回したからだけでない。ささいなデータ改ざんに始まりほぼ全論文に及んだ研究不正の様子やその心境をこと細かに告白した本を出したのだ。心理学者らしく野心や権力欲、怠慢などの動機も分析した▲この本には書評で、詩的だ、素晴らしいと評された心理描写もあった。だが、それは彼がまだまだ懲りていないことの証拠だった。その部分はJ・ジョイスらの作品から盗用していたのである(黒木登志夫(くろき・としお)著「研究不正」中公新書)▲ノーベル賞を受賞した山中伸弥(やまなか・しんや)教授が所長を務める京大iPS細胞研究所で36歳の助教の論文不正が発覚したという先日の報道だった。米科学誌に発表した論文の図など17カ所で、その主張に沿うような捏造や改ざんがあったという▲「見栄えをよくしたかった」とは当の助教の釈明である。同研究所は開設当初から実験ノートの提出を求めるなど研究不正防止に意を用いてきた。だが「気がつくと形骸化していた」という言葉に悔しさをにじませた山中教授だった▲不正防止対策は実効あるものにすべきだが、雇用期限切れが迫った助教の焦りを想像すれば不正の根を絶つ難しさをも痛感する。真理を突き詰めもすれば、ねじ曲げもする人間の性(さが)という科学研究の難所である。

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