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祭典の裏側

ロシアW杯まで5カ月/5止 薬物違反 渦巻く不信

W杯組み合わせ抽選会前の記者会見後、報道陣に詰め寄られるムトコ副首相(右端手前)

 年末のロシアに激震が走った。ビタリー・ムトコ副首相が先月25日、兼務するロシア・サッカー連合会長職の6カ月間停止を発表し、同27日には同じくサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会組織委員会の会長を辞任したのだ。

     「私は何も恥ずかしいことはしていない。ドーピングをサポートするプログラムはロシアにはない」。同1日にモスクワであった同大会組み合わせ抽選会前の記者会見では、近年のロシア選手のドーピング違反大量発覚について報道陣から質問を次々受けながら、組織ぐるみのドーピングを否定し、自身に非がないことを1時間半以上訴え続けていた。

     しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は同5日、ロシア・オリンピック委員会の資格を停止し、平昌冬季五輪へのロシア選手団派遣禁止を決定。ドーピング再検査でロシア選手40人以上が失格処分となった2014年ソチ冬季五輪当時のスポーツ相だったムトコ氏は、IOCに五輪からの永久追放処分を受け、国内でも責任を追及されたのだった。

     旧ソ連はスポーツを国威発揚と社会主義優位を示す手段に使った。1991年に崩壊したが、00年代に入るとロシアのスポーツにドーピングの話がついて回るようになった。世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が15年に「ロシアには勝つために手段を選ばない文化が深く根付いている」と断じたように、旧ソ連時代からの勝利至上主義は残ったままだ。

     ロシア反ドーピング機関(RUSADA)は現在もWADAに資格回復を認められておらず、ロシアの競技会の薬物検査は外部専門家と英国反ドーピング機関の監督下で行われる。

     国際サッカー連盟は独自の検査機関を持ち、14年W杯ブラジル大会では同国内に国際基準を満たす検査所がなかったため、検体はスイスの検査所に運ばれた。W杯ロシア大会でもRUSADAを通さずに検査できる。

     ロシアでは禁止薬物の保管や選手へのドーピング教唆で刑事罰が科されることを規定した新法が制定され、「クリーンな国」のアピールに躍起だ。陸上女子棒高跳びの世界記録保持者、エレーナ・イシンバエワさん(35)は「W杯がクリーンな大会になることは誰も疑っていない。ひょっとしたら、これまでで最も透明性の高い大会になる」と訴える。

     だが、14年12月にドイツメディアがロシアのドーピング問題を報じて以降、ロシアはムトコ氏を更迭したものの「組織ぐるみ」は否定し続け、一般市民から「他国もやっている」と反発の声も聞かれる。そんな国を見る国際社会の目は依然厳しく、4年に1度の祭典は相互不信の中で開かれる。【丹下友紀子】=おわり

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