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今週の本棚

小島ゆかり・評 『白磁海岸』=高樹のぶ子・著

 (小学館・1620円)

人はみな解決不能のドラマを生きる

 人間はなんて悲しく、なんて愛(いと)しいのかと思う。この物語に登場する人びとはみな、危うい秘密を抱えながら、その秘密にみずから傷つきながら生きる、強くて脆(もろ)く、愚かでやさしく、あさはかでなつかしい人びとである。

 たとえば『マルセル』では絵画が、『オライオン飛行』では時計が、謎を解く鍵として物語を動かしていったが、今回は美しい白磁の皿。ミステリーとしてのおもしろさはもちろん、登場人物のそれぞれが代わる代わる主人公になり進行する、多角的な人間心理のドラマでもある。

 夜更けて空も街も静まると、闇を走る風に乗って、金沢港の長い堤防にぶつかる波の音が聞こえてくる。そん…

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