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ガンジー

思い死なず 孫「弱者抑圧の今こそ学んで」

取材に応じるガンジーの孫ラージモーハン氏=ムンバイで、金子淳撮影

 非暴力・不服従運動を主導したインド独立の父、マハトマ・ガンジー(1869~1948年)暗殺から30日で70年となるのを前に、ガンジーの孫ラージモーハン・ガンジー元上院議員(82)がインド西部ムンバイで毎日新聞のインタビューに応じた。ヘイトスピーチが世界を覆う現状に触れ「ガンジーは弱者の抑圧は恥ずべきことだと言っていた。もし生きていれば、今の世界を変えようとしただろう」と語り、現代こそガンジーの思想に学ぶべきだと訴えた。

 ラージモーハン氏は、ガンジーの四男デーブダース氏の長男。10~12歳のころ、ニューデリーに滞在する晩年のガンジーと交流を持ち、2006年には伝記も出版した。「共に過ごす時間は短かったが、愛情深い祖父だった」と振り返る。

 ガンジーは、孫にも冗談交じりに哲学を語った。ラージモーハン氏がメガネを新調したときのことだ。質素な生活を尊ぶガンジーは「鼻の上に何か新しいものがあるね」とからかった。「目が悪いんです」と反論すると、「レンズは必要だが、新しいフレームは要らないね」と語ったという。

 暗殺の日も覚えている。父の秘書から「撃たれた」と知らされ、急いで現場に向かうと、ヒンズー教の宗教歌を口ずさむ人だかりの中、遺体が白い布に寝かされていた。「ショックだったが、驚きはなかった。祖父に対し怒っている人がいると知っていたから」

 ガンジーはヒンズー教徒とイスラム教徒の融和や、カースト制の最底辺に位置する「不可触民」への差別の撤廃を訴えた。だが、インドでは今も宗教暴動やカースト差別が続く。ラージモーハン氏は「多数派の一部が少数派を抑圧する権利があると思い込み、政府はそれに対して何もしない。平等なインド社会を目指したガンジーの思想に反する」と批判。米トランプ政権による移民規制などにも触れ、「弱者への抑圧は世界的な潮流となり、不名誉ではなくなってしまった。弱者は権利のために闘うべきだ」と指摘した。また「暴力は結果を生み出さない。非暴力闘争で世界に訴えるべきだ」と強調した。

 ラージモーハン氏はガンジー同様、人権活動家として長年、平等や宗教融和などを目指す運動に参加した。「正しい道を進もうとしたら、ガンジーと同じ道を歩んでいた」と語る。ニューデリーの貧しい小屋でガンジーと再会する夢を繰り返し見た時期があった。「インドがまたガンジーを必要としていると感じた。彼の思想は死ぬことはない」【ムンバイ(インド西部)で金子淳】

 【ことば】マハトマ・ガンジー

 本名モーハンダース・カラムチャンド・ガンジー。マハトマは「偉大なる魂」との意味の尊称。英国留学後に弁護士になり、南アフリカでインド系住民の人権活動に従事。帰国後にインド独立運動を率いた。宗教融和を重んじ、インドとパキスタンの分離独立にも反対した。インド伝統の身分制度カースト制はヒンズー教の慣習だとして容認していたが、不可触民(ダリト)への差別やカースト間の優劣を否定し、平等を説いた。48年1月30日、ニューデリーでヒンズー至上主義者に銃撃され78歳で死亡。

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