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社説

仮想通貨ネムの不正流出 顧客保護の軽視が招いた

 日本の仮想通貨取引所でまた、大規模な不正流出が起きた。2014年にビットコイン約470億円分が消失する事件があったが、今回の被害額はそれを上回る約580億円相当という。世界で過去最悪だ。

     問題の舞台となったコインチェック社は、流出した仮想通貨「NEM(ネム)」の持ち主全員に返金する意向を示している。一方、安全対策が不十分だったとして、金融庁は同社に業務改善命令を出した。

     だが、これで落着とはならない。

     コインチェックは、保管していた顧客の仮想通貨を何者かに奪われた側だが、ずさんな安全対策が招いた結果であり、責任は重大である。

     同社はビットコインを含む13種類の仮想通貨を取り扱っていた。狙われたネムの盗難防止策は、代表格のビットコインに対するものと比べ、はるかに不十分だった。

     後発のネムは、昨年一時年初より二十数倍も高騰したビットコインをしのぐ急成長もみせており、ハッカーには格好の対象だったのだろう。

     コインチェックは、安全対策を十分にとるまで、ネムの取引所での扱いを待つべきだった。自社の成長優先で、顧客保護が後手に回ったと非難されても仕方ない。

     それにしてもなぜ日本の取引所で、大型の不正が重なるのか。

     日本はビットコインの取引高で世界最大の市場だ。政府が新技術の成長性を有望視し、世界に先駆けて取引所の登録制を導入したことも、仮想通貨市場の成長を後押しした。

     その半面、登録前でも、猶予期間中や審査中の営業活動を容認した。業界に優しい対応が結果的に甘い安全対策を放置することになった。

     昨年4月の取引所登録制開始を受け、コインチェックは9月半ばに登録を申請した。いまだに登録手続きは終わっていないが、タレントを起用したテレビコマーシャルなどで、積極的な宣伝活動を展開していた。

     金融庁はもっと早く、厳格に対応すべきではなかったか。

     緩い不正防止策は、個人の利用者に多大な不利益をもたらすだけではない。テロ集団などの資金獲得を結果として助けることになれば、国の安全保障面での懸念も生じよう。

     成長第一、もうけ優先の落とし穴として、学ぶべき点は多い。

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