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社説

不妊手術強制で国を提訴 尊厳めぐる重い問いかけ

 人間としての尊厳を根本から問う重い問題提起だ。

     旧優生保護法の下で不妊手術を強制された宮城県の女性がきのう、国を相手に損害賠償を求める初の訴訟を仙台地裁に起こした。

     旧優生保護法は、戦後の食糧不足の中、「不良な子孫の出生防止」と、「母性の生命健康の保護」を目的として1948年に制定された。

     障害を遺伝させない目的から、精神障害者やハンセン病患者らが強制的な不妊手術の対象となった。法に基づき手術を受けた人は、全国で約2万5000人とみられている。

     憲法13条は、個人の尊重や幸福追求権、14条は法の下の平等を定める。旧優生保護法は、そうした憲法の規定に反するとの訴えだ。

     法律自体が、障害者への差別や偏見を助長していたのは間違いない。

     政府は、旧優生保護法が障害者差別に当たることを認め、96年に障害者への不妊手術の項目を削除し、母体保護法に改定した。

     原告弁護団は、政府と国会の法改正後の対応も問うている。

     2004年、当時の坂口力厚生労働相は参院厚生労働委員会で、優生手術の実態調査や救済制度の導入について問われ、「そうした事実を今後どうしていくか私たちも考えていきたい」と述べた。だが、政府は今に至るまで、具体的な対応を取っておらず、国会も動いていない。

     この問題については、国連の女性差別撤廃委員会などが、被害者への補償や救済を求めて勧告しているが、政府は「優生手術は当時、適法だった」として退けてきた。

     障害を持った当事者は、声を上げられずに社会で孤立しているのではないか。そう原告弁護団は見ている。時間が経過し、被害が闇に埋もれてしまう恐れがある。

     こうした差別的な現実は、原告弁護団などの活動を通じて一端が明らかになった。本紙の調査でも、9歳の女児が対象になったり、未成年者が半数を超えたりした事実が判明した。政府は、過去の優生手術の全容を調べたうえで開示すべきだ。

     現在の人権感覚に照らせば、明らかに差別的な法律である。それがなぜ半世紀近くも維持されてきたのか。その歴史に社会全体で向き合わなければならない。

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