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余録

五七五、七七の句を連ねていく連句の会での…

 五七五、七七の句を連ねていく連句の会での芭蕉(ばしょう)の発句(ほっく)「打寄(うちよ)りて花入探(はないれさぐ)れ梅(うめ)椿(つばき)」である。野外に梅花を探すのが探梅だが、家の花入れに早咲きの梅椿がある。みなで寄って探ってみよという句をどう継ぐか▲梅椿というので、みなが春の脇句(わきく)(第二句)を付けると芭蕉は不機嫌になった。言葉の表面にとらわれるな、脇句の季は冬だという。結局、付いた脇句は「降り込むままに初雪の宿」に。なるほど厳しい冬の中で春を探す句になった▲「探梅」はこれがきっかけで冬の季語になったといわれる。梅を見る「観梅」は春の季語で、まだ冬景色の野山に早咲きの春の兆しを探すのが探梅だ。いったんこんな言葉が広がると、妙に熱が入ってしまう日本人の性癖(せいへき)は昔からか▲初物好きの江戸っ子は雪の降るうちからそこら中で梅を探し回り、ほころびたつぼみ一つ見つけようものなら鬼の首でもとったようにほくそ笑む--こんな江戸の探梅風景を記した書物もある。昔の風流人は楽ではなかったのである▲明後日は節分、4日は立春、梅見も探梅が観梅に変わる節目である。とはいえ列島は凍りついたまま、東京もまた南岸低気圧による雪が降るという。気象庁は北海道を除く各地に節分から約1週間にわたる低温警戒情報を出している▲ただ各地の梅の開花を調べる生物季節観測によれば、東京、神戸、鹿児島などではすでに平年よりも早く開花している。いてつく大気や積雪の中、自然が刻み始めた新たな季節のリズムは聞き逃したくない。

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