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社説

支援住宅火災で11人死亡 貧弱な「居住福祉」の現実

 札幌市にある生活困窮者らの自立支援住宅「そしあるハイム」が全焼し、入居者計11人が死亡した。

     困窮者や高齢者の施設で多数が犠牲になる火災は何度も起きている。その度に防火対策の不備や避難しにくい建物の構造が問題とされた。

     今回の火災は、築40年以上の古い旅館を改装し「下宿」として届け出ていた住宅で起きた。夜間は職員がいなかったという。防火設備や職員の配置は十分だったのか、火災の際の避難誘導などの措置は適切だったのか、詳しい検証が必要だ。

     当時、この住宅には40~80代の16人が住んでいた。大半は生活保護受給者で、家賃は3万6000円。75歳以上の後期高齢者が多く、足の不自由な人もいた。新たな住居や就職先が見つかるまで一時的に入居する場とされていたが、高齢のために介助の必要な人も多かったという。

     住居のない困窮者はピークの2003年に2万5296人だったが、16年には6235人へ減少した。しかし、65歳以上が約4割を占め、70歳以上も13%。10年以上ホームレス状態の人も3割を超える。高齢化と長期化が課題となっている。

     住居を失うと、ハローワーク登録、アパートの入居手続き、年金受給手続きなどが困難になる。軽度の知的障害、精神障害がありながら、障害者手帳を持っていないため、福祉制度を利用できない人もいる。

     困窮者を支援している団体の多くは公的な補助金が十分に得られず、自ら資金を調達して活動している。運営費が確保できないため、古くて狭いアパートや空き家を改装して困窮者を支援せざるを得ない実情もある。人手も不足している。

     日本の困窮者対策は、居住の確保のための支援が乏しく、就労支援に重点が置かれている。生活保護には住宅手当、生活困窮者自立支援事業には住居確保給付金という制度もあるが、対象が離職者で就労能力や意欲がある人に限定されている。支給期間も短い。

     今回の火災の背景には「居住福祉」を軽視してきた日本の困窮者支援の現実があるのではないか。

     高齢や病気のため就労が難しい困窮者は増えている。住む場所や生活を支援する「居住福祉」を手厚くしないと悲劇は繰り返されるだろう。

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