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海部宣男・評 『ゲノムが語る人類全史』=アダム・ラザフォード著

 (文藝春秋・2430円)

遺伝子は可能性に過ぎず、運命ではない

 二〇〇一年、米・英が十年と三十億ドルをかけた「ヒトゲノム計画」の成果が公表された。初の「ヒトの遺伝子地図」は、三人のヒトの塩基配列を示す、膨大な文字列。遺伝的な意味は、まだほとんど不明だった。ヒトは約二万個の「遺伝子」を持っていたが、それはゲノム(後述)全体のわずか二%以下で、ゲノムは重複と無駄だらけに見えた。

 だがこの計画が巨大な一歩だったことは、間違いない。何よりヒトの全ゲノムの文字列が、国際的に公開され…

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