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社説

名護市長選で自公系勝利 対立をどうやわらげるか

 沖縄県の名護市長選で、米軍普天間飛行場の辺野古移設を進める政府と自民、公明両党などが支援した元市議の渡具知(とぐち)武豊氏が初当選した。

     翁長雄志(おながたけし)知事ら辺野古移設に反対する「オール沖縄」が推した現職の稲嶺進氏は3選を果たせなかった。

     12月の任期満了に伴う知事選の前哨戦として注目された選挙である。移設反対勢力の支柱を失った翁長知事にとっては大きな打撃となろう。

     1996年の普天間返還合意後、名護市は選挙のたびに移設容認か反対かをめぐって分断を深めてきた。

     98年から3回は容認派、2010年からは2回反対派が勝ち、今回は再び容認派が推す候補の勝利だ。

     この20年、有権者5万人弱の市で繰り返し移設の賛否を問われる住民に嫌気が広がり「辺野古疲れ」が生まれたとしても不思議ではない。

     しかも今回は辺野古の護岸工事が始まって初の選挙だった。移設に反対でも「工事を止められないのでは」と考える有権者もいただろう。

     政府は3年前から辺野古周辺地区に特別な補助金を出してきた。容認派を増やすための力ずくの手法が分断を助長したことも否定できない。

     「移設容認の民意が示されたとは思っていない。私の支持者にも反対の人がいて複雑な民意だ」。渡具知氏はこう語った。

     正直な心情ではないか。選挙中、移設の賛否を明言しなかった渡具知氏の当選が、直ちに移設容認とはならないはずだ。

     新市長がまず取り組むべきは、長年、市民を切り裂いてきた分断を修復する作業だ。市民の対立をどうやわらげるかに心を砕いてほしい。

     太平洋戦争で激戦地となった沖縄は、終戦後も27年にわたり米軍の統治下にあった。この間、本土の米軍基地は返還されていったが、沖縄は取り残された。この基地負担の偏在が米軍基地問題の根っこにある。

     米軍のヘリコプターの不時着が相次ぎ、ヘリの窓が小学校の校庭に落下した。安倍晋三首相は「沖縄県民の気持ちに寄り添う」と言う。

     その首相はきのう「名護市民の皆様に感謝したい」と述べた。市民を賛成か反対かの二分法でしかとらえようとしない発想が透けて見える。

     安倍政権は移設推進が「信任」されたと宣伝する姿勢は慎むべきだ。

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