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余録

民話「笠地蔵」は…

 民話「笠地蔵(かさじぞう)」は貧しい老夫婦が道ばたに並ぶお地蔵さんに笠をかぶせてやり、恩返しを受けるのが基本形だ。話は全国に分布していて、北陸地方にもいろいろ類話があった。富山県に伝わる話の一つである▲「地蔵様、いくら立ってござるがつとめやちゅうても、この雪ひどかろがいけ」。雪をかぶった7体の地蔵を見たおじいさんは町で有り金はたいて布を買い、地蔵の頭にかぶせてやる。だが、あと1体を残して布が尽きてしまった▲おじいさんは「寒いよかよかろさかえ、どうかがまんして」と地蔵に自分のふんどしをかぶせた。その夜半、戸口の大きな物音にもしや罰(ばち)が当たったかと震えたが、見れば餅や銭の山が。この家はやがて「ふんどし長者」と呼ばれた▲福井市では五六豪雪と呼ばれた1981年の雪害以来37年ぶりの積雪となった北陸地方の大雪だ。国道8号では福井県から石川県にかけての約20キロの区間で一時1500台の車が立ち往生し、体調不良のドライバーが手当てを受けた▲道に並ぶ車にドライバーが閉じ込められた現地では、地元自治体が用意した食料や水を自衛隊員が配り、燃料も補給する救援活動が繰り広げられた。立ち往生した方には寒さと空腹、疲れと不安を癒やす何よりの雪中の笠だったろう▲日本海上で発達した雪雲が列をなしてもたらしたこの記録的降雪という。日本海側ではなお大雪が続く恐れがあるそうで、お地蔵さんにもこの先おじいさんのふんどしの出番がないよう祈ってもらいたい。

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