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社説

戦後73年の「北方領土の日」 厳しさがつのる交渉環境

 きのうは「北方領土の日」だった。1855年に択捉島の北を日露間の国境と定めた日露和親条約の締結日にあたる。

     東京都内で開かれた返還要求全国大会で、安倍晋三首相はプーチン露大統領と20回の会談を重ねてきた実績を踏まえ、領土交渉を「一歩一歩着実に前へ進める」と約束した。

     戦後73年となり、元島民の3分の2はすでに他界し、残る約6000人の平均年齢は83歳になった。一刻も早く解決しなければならない。

     2016年12月に山口県で行われた日露首脳会談は、領土交渉をいったん棚上げし、北方領土での共同経済活動などを通じて信頼関係を高め、平和条約締結につなげていく「新しいアプローチ」に合意した。交渉方針の大転換だった。

     それでも日本には、解決に意欲を見せるプーチン氏が今年3月の大統領選で再選されれば、打開へ動き出すのではという期待があった。

     ところが情勢は大きく変わった。

     昨年1月、対露改善を唱えて就任したトランプ米大統領だったが、この1年で米露関係はむしろ悪化した。さらに2日公表された米国の「核態勢見直し(NPR)」は、ロシアへの対抗措置を強く打ち出した。

     この中で米政権は、ロシアが局地戦で小型核兵器を使用する可能性に対抗するため、小型核弾頭や核巡航ミサイルの開発による核戦力強化へかじを切ると宣言した。ロシアも対抗しようとするだろう。

     アジアでは、北朝鮮の核・ミサイルに対するミサイル防衛システムなど米国の軍事プレゼンスが高まっている。警戒するロシアは択捉空港の軍民共用化を決めるなど、北方領土を含む千島列島で軍備を強化している。ロシアにとって北方領土の軍事的価値は高まっている。

     こうした状況では、ロシアが北方領土を手放すことはないだろう。交渉環境は厳しさを増している。

     日露間では「新しいアプローチ」の実績として昨年、北方領土の元島民らによる墓参に初めて空路が使われた。共同経済活動の協議も続いている。だがこうした積み重ねの延長線上には、領土問題を打開する出口は見えてこない。

     対露政策全般の見直しも検討すべき段階にきているのではないか。

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